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[反貧困] 松下プラズマ、偽装請負告発者に報復解雇

正社員化を命令する高裁判決勝ち取る

「偽装請負は違法な労働者供給であり、労働者とユーザー企業との間に黙示の労働契約が存在する」。２００８年４月25日、大阪高等裁判所・若林諒裁判長はこう判示した。

松下プラズマディスプレイ（松下ＰＤＰ）で「偽装請負」状態で働き、それを告発すると、期間工として直接雇用されたものの、半年後には解雇（雇い止め）されたとして、松下プラズマディスプレイを訴えていた吉岡力さんの全面勝訴判決である。

判決は、労働の実態を重視して判断し、事実上、期間を区切ることなく正社員として雇い続けるよう命じる画期的内容だ。

吉岡さんは04年1月から、松下ＰＤＰ茨木工場で「請負会社パスコの社員」という形で働き始めた。吉岡さんが所属していた行程は、鉛や有機溶剤など危険物を扱う部門で、当初は松下の正社員と一緒に作業していた。

しかし、松下正社員らの鉛の特殊健康診断で血中鉛の値が危険値にまで上がり、この行程から正社員は外されることになる。この時、松下の労働安全衛生担当がいった言葉を吉岡さんは忘れられない。「もうこの仕事はしなくてもいい。あとは派遣の奴らにやらしとけ」。

請負社員に特殊健康診断はなく、以後この行程は、吉岡さんがほとんどこなすことになったという。それでも吉岡さんは、「３月に父親を亡くしたこともあり、松下で頑張っていこうと心に誓って」、がむしゃらに働いた。

偽装請負の告発と報復解雇

吉岡さんが偽装請負を告発するきっかけとなったのは、請負会社移籍の強要だ。松下の班長は、時給１３５０円のパスコから１２００円のアクティスへの移籍を迫り、「拒めば、辞めさせる」「文句を言っているのはお前だけ」との脅しをかけた。その班長は、「吉岡ちゃんのおかげでこの行程はもっていると思う」と吉岡さんの仕事を評価していただけに、「嘘をつかれた」との思いと共に怒りは募った。

「実際は松下側社員の指揮命令のもとで働いており、偽装請負だ」。05年5月、吉岡さんは、大阪労働局に偽装請負を告発。松下はこれを認め、同８月、直接雇用した。しかしこの雇用は、首切り・見せしめのためだったのである。