[政治] 橋下府知事、幼稚園の畑を強制取り上げ
第二京阪/不要なランプ建設で土地収用強制代執行
「要塞のような道路建設のために、子ども達の夢を奪わないで欲しい」。早朝7時、土地収用に反対する北巣本保育園保護者・地元住民らは、大阪府職員に呼びかけた。
10月17日早朝、第2京阪道路建設のための、門真市北巣本町の土地収用強制代執行が行われた。そこには、黒々と肥えた土によく手入れされた野菜、さらに地元住民から「農神様」と呼ばれている樹齢300年のエノキの巨木が地蔵を従えて、そびえ立っていた。
予想交通量が当初の6割程度に下方修正され、橋下知事によって財政非常事態宣言が出された今、3階建て・12車線道路建設は必要なのか?強制代執行の模様をレポートする。(編集部・山田)
500メートルの間にさらにランプ、巨大道路で環境悪化も
午前7時半、大阪府用地室の石井室長が代執行宣言をし、約100名の職員・業者によって「畑潰し」は開始された。潰された畑は、北巣本保育園の園児らが20年にわたって、サツマイモ・落花生・キャベツなど季節の野菜を無農薬有機栽培で育ててきた土地だ。
31日には近くの中津保育園との合同芋掘り大会も予定されており、保護者の関純子さん(仮名)は、「せめて収穫まで待って欲しかった」と残念がる。
この土地の所有者・松本剛一さん(49歳)は、北巣本保育園の理事。保育園と畑を両親から譲り受け、「農作業をとおして食の大切さ・自然の神秘を感じて欲しい」との願いから手作り農園として運営してきた。
保護者・保育士・地元住民ら約30名は、畑に座り込み、精一杯の抵抗を試みた。松本さんのギター伴奏で「陽気にいこう」などを歌い、お地蔵さんの絵が描かれたプラカードを掲げる。曰く「権力を乱用するな」。一方、大阪府職員はスクラムを組み、保護者らを排除した畝から順次野菜を引っこ抜いていった。
「子ども達にどう説明するんだ!」こうした保護者らの声に、目を伏せながら黙々と作業する職員。9時過ぎには、中津保育園の園長もかけつけた。園長は、物静かに「大人の責任」を説き続け、「せめて最期を見届けさせて欲しい」と要望したが、職員は俯いたまま。畑には入れなかった。
地蔵さんの絵をプラカードに描いた野口千恵さんは、松本さんの友人で、京都から駆けつけた。「お地蔵さんの笑顔をもって、優しい気持ちで中止をお願いする気持ちで描いた」という野口さんは、般若心経の写経も御神木「農神様」に掲げた。