[海外] パレスチナ/占領の別名でしかないイスラエルの「和平」」
和平の内実なきオルメルト提案
「パレスチナ人との交渉」という名のプロパガンダ・キャンペーンは、多くの人に現状が《一時的なもの》という偽りの印象を与えるのに成功している。
実際、余命いくばくの2人の政治家―エフド・オルメルトとマハムード・アッバス―の間で続行している話し合いを形容する言葉として、「ブッシュ政権お膳立ての余興」という表現ほど相応しいものはない。
以前なら、交渉では和平協定が予定され、協定は和平へとつながるものとされた。しかし、今の話し合いには、そういうものは想定されていない。せいぜい「棚上げ協定」が調印されるのが関の山だ。それは遠い未来に実現されるかどうかという、いい加減なものである。
それでもショーは続けなければならない。先週、新聞は「オルメルトが詳細な最終地位協定案を出した」と報道した。本来なら、「これがイスラエルの考えだ」と言うところだが、オルメルトはもうすぐ「過去の人」になる。彼の提案にどれだけの値打ちがあるのか。
とはいえ、提案からは少なくともイスラエルが何を問題にしているかをうかがい知ることはできる。
それはイスラエルの政治的論説では重大な問題である。過去15年間、シオニスト左派と急進左派との間の中心的論争点であった。正直な人は、「現実には何も変わらなかった」と認める。1993年以来、終結させることになっていた占領は相変わらず続き、入植地は増殖する癌細胞のように大きくなるばかり。
急進左派は、これを「イスラエルに占領終結の意志がない証拠」と見る。
シオニスト左派は、違う考えである。確かにガザや西岸地区の実情は以前よりもひどくなっている。しかし今や、主流派ですら「パレスチナ国家」を口にするようになったではないか。言葉はやがて事実となっていくのだ―占領終結を約束しながら入植地を強化している主流派(ラビン、ペレス、バラク等々)を支持し続ければ、彼らは我々の世論に押されて、言葉を事実にせざるを得なくなるのだ、というのがシオニスト左派の立場だ。