[社会] 不登校、引きこもり当事者への暴力を考える
丹波ナチュラルスクール事件
9月23日、フリースクール・フォロ(大阪市中央区)で丹波ナチュラルスクール事件を受けて「不登校・ひきこもり当事者への暴力を考える」集会が行われた。
京都府の丹波ナチュラルスクールでは、日常的に暴力がふるわれていたことが次々と明らかになり、経営者が傷害容疑で逮捕された。
入所に際しても寝込みを襲い、手錠をかけて連行し、入所直後に理由もなく暴行を加えて恐怖心で支配。逃亡防止のために居住空間に鍵をかけて監視し、強制労働を強いていたと報道されている。
この日、フォロには、フリースクールに通う当事者・保護者・運営者など40名ほどが集まり、率直な意見交換を行った。
リナさんの体験
10ヵ月間、入所型矯正施設に入れられていたというリナさん(仮名・18才)は、自分の体験を語った。中学校1年で不登校になったリナさんは、引きこもり・家庭内暴力などを経て、いったんアパート生活を始めた。
当時、学校に行けない自分を責め、将来への不安や、自己否定感に襲われ、強迫神経症の症状も出たという。アパート生活は、家族が傷つけ合う状態からの一時避難だった。
リナさんが奈良県の宿泊型支援施設への体験宿泊に同意したのは、家にも何処にも「居場所」がなかったのと、同施設が行事への参加をはじめ一切の強制はない「フリースクール」と聞いたからだ。
しかし実際の施設生活は、全く違っていた。起床・食事・作業時間が決められ、施設のメニューどおりの生活を強いられた。「1週間我慢したら帰れる」との思いで、メニューどおりの生活を送ったが、入所しないことは心に決めていたという。
体験宿泊の最終日、入所するかどうかを聞かれ、拒絶したが、拒絶の度に延々と説得され、再度入所への同意を求められるというくり返し。最後には、「お前にはここ以外に居場所はない。NOという答えはない」と言われたという。
リナさんは、10ヵ月間の施設生活のなかで3回脱出を試みている。しかし毎回、親から施設への連絡で連れ戻された。最後には親許に帰ることもできず、教会に逃げ込んで保護されている。
施設への不信に加え、親への不信から電話連絡もできなかったが、気力が回復して親に電話をして、初めて親の本音を聞けた気がしたという。それは、母親が泣きながら言った「生きていてくれているだけで嬉しい」という言葉だった。
今もリナさんは家に帰れない状態だが、両親が「施設に返すことはしない」と約束したので、ようやく親と向かい合う時間がもて始めたという。