更新日:2008/09/17(水)
[コラム] 深見史/心臓が鼓動を止めただけ…
いくら耐えても報われない働き方
朝起きてみると、携帯電話に無数の不在着信記録があった。東京で暮らす娘からだ。泣き叫ぶようなおびただしい着信記録に不安を感じ、あわてて電話した。
「電車の中だから出られないが」とメールで返信があった。葬式に向かう途中だという。葬式に行くための交通費と香典代を借りたかったのだが…友人からなんとか借りたから大丈夫だ……と。
死んだ青年は24歳だった。娘は彼と、死の前々日に一緒に飲んだ。最近、アルバイト先の飲食店で「店長」になった彼は張り切って働いていた。忙しい仕事を終えた夜中に友人たちとのつきあいもこなし、青春を謳歌し、元気そのものに見えた。
「店長」は1日16時間働いた。休日もなく働いた。残業代も出ない「店長」労働に、彼は誇りと生き甲斐を持ち、一生懸命働いた。いずれは正社員になって、いずれは安定した暮らしを手に入れるのだと、いずれは、いずれは、いずれは……と、彼は毎日働いた。
彼、「店長」の無断欠勤が2日続いた日、さすがに不審に思ったアルバイト仲間がアパートを訪ねた。働き者の「店長」は布団の中で冷たくなっていた。
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