[反貧困] 垣根を越えてつながる「反貧困ネット」
インタビュー:湯浅誠さん(もやい・事務局長)
組織を越え、分野を超え、世代をつなぎ、継承する
新自由主義が顕在化させた日本の貧困問題。それは同時に、広範な「反貧困」運動を生み出す契機にもなった。その運動の立役者のひとりが、各地のフリーター運動とともに、「反貧困ネットワーク」事務局長として活躍する湯浅誠さん(NPO法人自立生活サポートセンターもやい・事務局長)。この夏から秋にかけて全国47都道府県で開催される「反貧困キャラバン」に携わり、その終着地の東京では「反貧困世直しイッキ¢蜿W会」を開催する。湯浅さんに反貧困運動の特徴と課題を聞いた。(編集部・中桐)
これまでの「反貧困運動」が得てきたものは?
いま準備している「反貧困世直しイッキ¢蜿W会」のスローガンは「垣根を越えてつながろう」ですが、運動内の連携を作りつつあることが大きな成果です。労働分野では、連合・全労連・全労協が一同に会する形を作ることを追求してきました。社会保障では、社保協や中央労福協です。
これは、私や宇都宮健児さん(弁護士・反貧困ネット代表)・赤石千衣子さん(しんぐるまざあず・ふぉーらむ)・雨宮処凛さん(作家)など、労働運動以外のしがらみがない人間がやっているからできることでしょう。
大阪でも、反貧困キャラバンで初めて横断的に取り組むようですが、「一日共闘」の積み重ねが大事でしょう。反貧困キャラバンは、各地で「反貧困ネット」を作るぐらいの横断的な組織化を目指していますが、地域の濃淡があるのは事実です。それでも4つか5つ位は「反貧困ネット」を名乗るかどうかはともかく、ネットワークができそうです。
労組以外とのつながりは?
個人的なつながりが太くなったり、新しくできています。反貧困ネットの会議は、様々な分野から20〜30人が集まっていますが、それを契機に個別につながるなどしています。つながりの豊富化が、「知ってるようで知らなかったことに気づく」といった相互作用をもたらしています。