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更新日:2008/08/16(土)

[海外] 韓国/100万人キャンドル集会
──映像作家・在日2世 金稔万(キム・インマン)

圧倒的な国民の支持を受けて出帆したかに見えた李明博政権が、わずか100日あまりで大きく揺らいでいる。発端は米国産牛肉の輸入全面解禁だ。

最初に行動を起こしたのは中高生だ。韓国では高校まで学校給食制度があり、「危険な牛肉を給食で食べるのは否だ!」とインターネットで呼び掛け合い、5月2日、キャンドル集会が始まった。その後、全国各地で自然発生的に広がり、5月6日、民主労働党、韓国進歩連帯、参与連帯など約1500の政党、市民団体、ネティズン(「ネット」と「市民=シチズン」の合成語)らが「狂牛病(BSE)国民対策会議」を結成した。

小さなキャンドル集会が日ごとに拡大し、ついに6月10日、「100万人キャンドル集会」が呼び掛けられた。6月10日は1987年の6月民主化抗争21周年にあたる。参加者は70万人(主催者発表)にふくれあがり、1987年以来、最大規模の集会=「宴」になった。

午後7時、地下鉄で市庁へと急ぐ。電車は満員で、すでにプラカードやロウソクを手にした人々もいる。市庁駅で降り出口に急ぐが、人並みで前に進まない。ようやく地上に出ると、見渡す限りの人並みである。

光化門ロータリーから南大門付近まで、都心の大通りはチョップル(ロウソクの灯)で埋め尽くされ、文字通り「解放区」になった。それに対して、警察は青瓦台(大統領府)に通じる3ヵ所の大通りに高さ5.4メートルの大型コンテナ60個でバリケードを築いた。

断絶や分断越える歴史

韓国で初めてキャンドル集会が行われたのは、2002年6月13日、米軍の装甲車に轢き殺された2人の女子中学生のために、米軍に反対するデモだ。紙コップで作ったチョップルを配る女子中学生たち。小さな子どもや乳母車を引く母親たち。386世代(※)の中年の父親と娘のカップル。軍服姿の予備兵士。僧侶や修道女。チャング(鼓)やケンガリ(鉦)の耳をつんざくようなリズム。

見知らぬ隣人どうし、互いに肩を組みながらシュピレヒコールと運動歌謡を繰り返し歌い、世代の断絶を越えて「恨から恨解き」の記憶を継承する。この模様は、独立系の市民メディアである『オーマイニュース』や『ハンギョレ』、多くのメディア活動家などによって、インターネットで生中継された。歴史的な「宴」は全世界に発信され、世界中の人々に注目された。

「光州」はどうだったのか?1980年5月。「光州」は圧殺された。当時のメディアは「光州」を「不純分子や固定スパイなどに扇動された内乱陰謀」として軍事介入の正統性を強調し、真相を隠蔽した。「光州」の犠牲者の遺族や負傷者は挫折感をいだくしかなかった。しかし毎年、5月に追悼行事が行われ、口コミやマダン劇・運動歌謡「ニムの行進曲」などで外部に伝えられていった。そして、1987年6月。6月民主化抗争は「光州」精神を引き継ぎ、全斗換軍事独裁政権を打倒し、大統領直接選挙制を勝ち取った。

(※386世代:90年代に30代となり、80年代の民主化運動・学生運動の最中に大学生活を送った、60年代生まれの世代。韓国の社会・政治・経済の中核を担う。)

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