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更新日:2008/07/16(水)

[海外] アメリカ/ガソリン価格三倍の影響
ノースキャロライナ州立大学ローリー校講師 植田恵子

アメリカの車社会と石油価格高騰・安いガソリン前提の郊外生活

今年に入ってから、ガソリン価格がじりっじりっと上がってきた。ガソリンスタンドを通り過ぎるたび、チラッと値段に目を走らせる。毎日3セント、5セントと上がっていくのを見ると、財布も胸もぐさりと痛い。

2003年には1g=40円だったガソリンが、本日は1ガロン=4ドル(1g=110円)。ちなみに現在、フランスでは1g=276円、トルコは303円だ。全国平均4ドル到達の記念すべき日である。満タン(45g)にして52j(5460円)。米国の地方都市は車という足がなければどこにも行けない構造になっているから、週3日しか通勤しない私でも、45gのガソリンを1週間で楽に消費してしまう。

戦後、米国の多くの地方都市は安いガソリンに支えられ、広大な土地を存分に開発し、「スプロール化」が進められた。スプロール化というのは、街が郊外に向かってどんどん広がっていく現象をいう。私の住む南部のこの町も例外に漏れず、新興住宅地が急速に裾野に広がり、たった2年で人口が10万から13万人に膨れ上がった。

ガソリンが安く、車が前提の地方都市では、公共交通機関が発達しない。世界人口の5%に満たない米国人が、世界の6億8300万台の車のうち、2億台を所有し、スプロール化の進んだ広大な土地を乗り回す。1990年から2001年の間に、米国人の運転量は40%も増えた。

ちなみに米国人の1年平均走行距離は1万1千マイル(17700q)だ。しかも燃費が悪く、平均1ガロン20マイル(8q/g)しか走らない上、他国の車より15%も多く二酸化炭素を排出する。これもすべて石油の安さに安座し、燃費や効率を重視してこなかった結果だ。

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