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更新日:2008/06/07(土)

[海外] パレスチナ/パレスチナ人排除の遺跡発掘は新たな中東紛争の火種だ

4月25日 『高等教育クロニクル』より イガル・ブロンナー&ネベ・ゴルドン

「考古学が土地収奪の武器となった」と、イスラエル人考古学者ヨナタン・ミズラヒが電話インタビューで語った。彼が言及しているのは、エルサレム市最古のアラブ人地区・シルワンのことだ。そこでは、「大昔ユダヤ人が住んでいた」という理由で、パレスチナ人を追い出すための発掘調査が行なわれている場所である。

発掘調査を指揮しているのは、「エラド」という入植者団体。「ダビデの市」を表すヘブライ語文字から取って名づけられたエラドは、この数年間、様々な手段を使って東エルサレムからパレスチナ人を追い出し、その跡地にユダヤ人を入植させてきた。そのための入植前哨地がシルワンに数ヵ所ある。

さらに、居住地近くの緑の農地が発掘候補地に指定され、柵で囲まれ、武装警備員が配置されている。そのうち2つの発掘候補地には、発掘作業ではなくユダヤ人住宅が建設されている。

力関係は入植者が圧倒的に優位であるが、シルワン住民は「発掘を止める住民の会」を組織して反対運動に立ち上がった。外国の著名な学者やイスラエル人学者も数名その運動に助力している。

ジョーンズ・ホプキンズ大学人文学部長ディビッド・A・ベル教授、カリフォルニア大学バークレー校の修辞学・比較文学担当ジュディス・バトラー教授、及び歴史学のトーマス・W・ラケール教授、ベルリンのマックス・プランク科学史研究所のロライネ・ダストン所長、プリンストン大学歴史学のナタリー・ゼモン・ディビス名誉教授、コロンビア大学アラブ学のラシド・ハリディ教授、及びサンスクリット語・インド学のシェルドン・ポロック教授、シカゴ大学文化人類学・社会学のマーシャル・サーリンス名誉教授、米歴史評論の編集者でインディアナ大学ブルーミントン校歴史学担当のロバート・A・シュナイダー教授。イスラエルからはエルサレムのヘブライ大学の南アジア学のダビド・シュルマン教授と政治学のヤロン・エズラヒ教授が参加・署名している。

イスラエルの著名な考古学者の名が全くないのが目立つが、これは彼らの活動が政府の古代遺跡局の資金に依存しているためである。

シルワンは、中東で最も神聖で、微妙な場所である神殿の丘=アル・アクサ・モスクのすぐ近くにある。考古学の使命は物的文化、碑文、その他の遺跡などを発掘・分析して諸民族の歴史を研究することだが、しばしばナショナリズム貢献に利用されることがある。

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