[社会] 超金持ちクラブ=(株)ヒルズクラブのケタオチ職場
暴行、嫌がらせ、残業代未払い、おまけに団交拒否
「ひとの人生をなんだと思ってるんだ!ふざけるのもいい加減にしろ!大橋寛治社長、出てこい!」―六本木ヒルズの前で、西脇順也さんが怒りの声を上げる。
西脇さんは先月18日、潟qルズクラブに対し、三度目となる団体交渉の申し入れを行った。ヒルズクラブは、東京都港区で会員制のレストランとスパ(総合リラクゼーション・フィットネス施設)を複数経営している。会員になるには、入会金126万円、預託金50万円、年会費18万9千円を支払わなければならない。世界の富豪や有名人が集う、この超高級プライベートクラブの裏で、一体何が起こっているのか?
西脇さんは、2004年4月にヒルズクラブに入社し、六本木ヒルズクラブのフレンチレストランで調理師として働き始めた。そして2005年、人員不足のため、アークヒルズ内コンチネンタルダイニングに異動となる。
仕事量は以前の2〜3倍になり、ベテランの先輩社員も悲鳴を上げるほどの忙しさだったという。勤務は8時または8時半に始まり、22時半から23時半頃に終わる15時間労働。休憩時間は1日30分から10分程度で、全く休憩のない日もざらだった。
この過重労働だけでも殺人的だが、西脇さんは、2005年6月頃から、当時の上司とその同僚による暴行を受け始めたという。こぶしで後頭部を強打され、嘔吐や激しい頭痛に襲われた西脇さんは、脳外科で打撲による低随液圧症候群と診断される。
その後も、つま先に鉄板入りのコック用の靴で蹴る、胸ぐらをつかんで殴るといった暴行が、日常的に行われるようになった。長包丁を振り回して指図をされたり、口の中に指を何本も突っ込まれてわしづかみにされたりした。重い銅製の鍋で頭を殴られそうになり、間一髪で避けたこともあった。こうした暴行・嫌がらせの結果、西脇さんは心身ともに障害を負う。閉所恐怖症、過呼吸、不整脈、不眠症、自律神経失調症、パニック障害、PTSD、離人症といった数々の後遺症が、今でも西脇さんを苦しめている。 (藤井枝里)