[海外] パレスチナ/オバマとイスラエル
4月4日 スコット・マッコネル(ジューイッシュ・ピース・ニュースより)
大統領選挙に勝つために、若き民主党上院議員ジョン・F・ケネディはユダヤ人社会の指導者と会合した。彼は自州内ではかなりのユダヤ人支持層を掴んでいたが、全国レベルではあまり知られていなかった。ケネディは、会合の中で、「自分はパレスチナ難民問題解決に進展があることを希望する」と言った。シカゴのデベロッパー(開発業者)の著名なユダヤ人指導者フィリップ・クラツニクは、「そういう意見を持って大統領選挙に出馬するつもりなら、私や私の同胞をあてにするのはやめてくれ」とぴしゃりと言った。ケネディはその後の選挙運動中、難民問題を一切口にせず、イスラエルを褒め称える演説をやった。
大統領になってから彼は、訪米中のベングリオン(イスラエル首相)との会談で難民問題を持ち出し、その後一部のパレスチナ人が帰還できる案を提起した。イスラエルはそれを「アラブの独裁者や王族の脅威よりもイスラエルの生存にとって危険な提案」と呼んだ。ユダヤ系米国人もこの提案に猛烈に反対し、結局いつの間にかその提案は取り下げられた。 その提案を土産にエジプトのナセル大統領と友好条約を結ぶ試みだったが、それに失敗したケネディは、逆にイスラエルにミサイルを供与した。これが米国がイスラエルの主要な武器供給国となるプロセスの最初で、現在見られる両国関係の礎となった。
その後いくつかの戦争があり、何十億ドルもの支援金がイスラエルへ渡った。イスラエルは米国に依存して強国となったのである。米国も以前より深く中東に関係するようになった。ユダヤ系米国人は相変わらず民主党の重要な資金源であり続けている。
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表面的にはバラク・オバマとイスラエル支持派との関係は、他の民主党候補と同じように、良好である。昨年、イリノイ州選出上院議員だったオバマはAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会。ロビイスト団体)の年次総会に出席(彼は「小集団の友人」と表現)、イスラエル訪問、イスラエル空軍のヘリコプターに乗ったこと、「ヒズボラのロケット砲とイランはイスラエルと米国両国にとって脅威である」と話した。またイスラエルは中東における米国の「最強の同盟国」だと宣言した。
和平プロセスに触れたものの、イスラエルを交渉テーブルにつくように「強制」する気もなければ、ユダヤ人国家にとって何が安全保障になるかを「指示」する気もないことを納得させることを忘れなかった。ディック・チェイニー副大統領等のイスラエル賛歌ほどではなかったが、聴衆に気に入られた演説だった。