[政治] G8サミットを利権と「実戦」の場とするケーサツ 商機にするセコム
不可解な「北海道」決定
七月七日〜九日に北海道・洞爺湖町でG8サミットが開かれる。そのサミット会場決定の裏に、警察庁と、そのOBが天下っている民間警備会社最大手のセコムの意向が大きく関わっていた。
財政難にあえぐ北海道は、今回のG8サミットの開催地に立候補する意欲はなかった。立候補していた三地域=@港湾地区(横浜・新潟)、A関西地区(大阪・京都)、B瀬戸内地区(岡山・香川)が、それぞれ二年も前から数千万円をかけた誘致運動を展開し、外務省は〇六年一一月と〇七年一月に三地域の現地調査を行っている。
ところが、北海道は〇七年三月七日に候補地として突如手を挙げ、四月二三日、急転直下、北海道開催が決定されたのである。これは、北海道が巻き返しを図るべく猛烈な誘致運動を展開したからではない(高橋はるみ北海道知事は、「誘致関係経費は、出張旅費とコピー代ぐらい」と発言している)。太田房江大阪府知事(当時)が、「今回の決定は腑に落ちない」と強い不満を表明したように、その決定は不可解なものだった。
北海道の立候補を働きかけたのは、安倍首相(当時)周辺である。「警備のしやすさ」を理由に漆間 巌警察庁長官が高橋知事に働きかけ、地元選出の中川昭一(日本会議国会議員懇談会会長代行・元農水相・元自民党政調会長)が説得したという。
「『環境サミット』というのなら、『京都議定書』が議決された京都こそ、その舞台にふさわしい」との意見もあった。外務省も、迎賓館のある京都に決めたい意向だったが、警察庁が北海道を強力に推したとされる。しかし、「警備のしやすさ」を理由にしながら、大臣クラスのサミット関係会合が、関東・関西・北陸・東北と全国各地で開かれるのをみると、これは表向きの理由のようだ。北海道警察幹部は、要人の輸送ルートや会場の警備に「かかる労力は同じ」だと漏らしている(二月一五日付毎日新聞)。