[海外] 台湾立法院選挙/中国との経済連携望んだ台湾資本
──単福
対中融和の野党、国民党が圧勝
一月一二日、台湾立法院(国会)選挙が行われ、馬英九率いる国民党の圧勝に終わった。今年の三月には総統選挙が待っている。前回は、民進党・陳水扁の自作によるテロ襲撃という直前のシナリオにより、逆転勝利した民進党であったが、三月の総統選挙には、謝長廷が公認候補として出馬する。彼は京大を卒業した弁護士であり、民進党内では穏健独立派である。
国民党の勝因の一つは、親民党との合併を含む統一戦線に成功したことだ。親民党の一〇人は国民党で立候補し、当選している。それに対して、民進党・陳水扁は同じ独立派である李登輝前総統率いる「台湾団結連盟」を排除した。
今回の選挙は、定数を二分の一に減らし、なおかつ小選挙区比例制にした。これは国民党と民進党が一致して進めた政策だが、双方が相手にダメージを与えることを目的とし、二大政党制への布石でもあった。両党の同床異夢で李登輝らの反対を押し切って成立させたが、結果は、党内調整の差が反映した。
「台湾資本は何を望んだか?」であるが、台湾から中国に、現在一〇〇万人が渡っており、大陸への投資が、台湾経済を支えている。陳水扁の進める「台湾独立」は、台湾海峡に緊張をもたらすだけでなく、経済的な打撃を引き起こすことになる。台湾資本がこれを嫌ったことも民進党の敗因である。
対中国大陸政策だけでなく、陳水扁の政策は日米の支配層からも好まれておらず(アメリカは台湾海峡の緊張化を望んでいない)、アメリカとのパイプも太くない。アメリカは、エネルギー戦略が最大の課題であり、国内の経済状況も悪く、中国との対決姿勢は当分の間はとれない。
陳水扁は、権力への執着から、より「独立」を鮮明に打ち出すことで苦境を打開しようとした。しかし、民衆はそれを望まなかったし、これ以上の台湾経済の悪化を望まなかった。
日本も同じであるが、得票率と当選者数は必ずしも一致しないのが小選挙区制の特徴だ。今回の選挙は、投票率が前回より低く(五八%。前回は八〇%)、投票に行かなかった層がどう感じていたかも見なければならない。