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更新日:08/03/01(土)

農薬混入ギョーザ事件/いつまでマスコミと商社に踊らされ続けるのか
──京都精華大学 本野一郎

食の情報公開は人権問題

農薬混入餃子の報道を聞き、不謹慎だが笑ってしまった。「餃子という食品は、輸入して食べるようなものでないだろう」と思ったのだ。見ず知らずの人が作った餃子を「手づくり餃子」と書いてあるだけで信用してしまう、その精神構造がダメだと思う。

今回の餃子問題だけでいえば、流通経路が長すぎる点を指摘し、「食品テロ対策を考える」ということに落ち着きそうだ。また、地産地消や自給率の低さが取り上げられ、これはこれで、意味のある議論だ。しかし、いずれも本質的な議論ではない。これまでのように、ほどぼりが冷めたら消費行動は元に戻ってしまう。

事の本質は、「人権の問題」である。最近、ベルサイユ宮殿を見学する機会があった。数ある豪華絢爛の部屋の中にルイ一四世の寝室があった。ここへ怒った市民が雪崩れ込んでフランス革命は成就し、世界へ人権思想を発信したのだと改めて思った。

二〇〇年が経った今も、王様の寝室を市民が自由に出入りできて、写真も取り放題というのが、市民革命を経て生まれた国の情報公開である。これが市民による民主主義革命の人権思想なのだと納得した。世界社会フォーラムのリーダー=バンダナ・シヴァは、「自分たちの食料に何が入っているか知らないような状態で、民主主義は成り立たない」と語り、「食料の安全と生命の健康は人権なのだ」と指摘している。食べ物への感謝の念が生まれるのは、作っている人がわかってこそだし、感謝と人権は裏腹の関係なのだ。

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