[社会] グッドウィルに事業停止命令
はじめに
新自由主義の象徴のごとき日雇い派遣会社。グッドウィルユニオンをはじめ労働組合が声を上げ、その悪徳と日雇労働者の悲惨は、社会問題となった。
業界最大手のグッドウィル。一月一一日、厚生労働省は同社に対して事業停止命令を出した。これにより二〜四ヵ月間、同社は新たな契約に基づく派遣ができなくなっている。グッドウィルで働く労働者は一日三万人以上。その多数が失業を余儀なくされ、不安と怒りが広がっている。
グッドウィルユニオンは、一八日より「失業ホットライン」を開設。厚労省に日雇い雇用保険の支給を求めるなど、反撃を強めている。搾取され続ける派遣労働者へのしわ寄せは許されない。(編集部)
失業の責任を個人に押し付けるGW
仕事がなくなるんで、生活に困っている。どうしたらいいか」「実家に帰ろうか、借金をしようかと悩んでいる」…。
「失業ホットライン」に寄せられる相談の内容はそうとうに深刻で、生活全般に係わる。母親と二人暮らしの若い労働者は、週に三〜四日をグッドウィル(以下、GW)で働き、月収一二〜一三万を得ていた。GWの事業停止を受けて、他の派遣会社で働けないかとあたっているが、なかなか見つからないという。
GWは、かねてより二重派遣や禁止業種(建設業務や港湾業務)への派遣が指摘されてきた。事業停止命令を受けたのは、全国の七〇八支店。これにより、「定番」と呼ばれる常勤の派遣労働者は引き続き働けるものの、「スポット」と呼ばれる日々異なる現場で働く労働者は「失業」に追い込まれている。グッドウィルユニオンの関根秀一郎書記長は、「数千人規模で職にあぶれる労働者が発生する可能性がある」と話している。
グッドウィルユニオン(以下、ユニオン)では、一月一八日から二四日まで「失業ホットライン」を開設。登録労働者からの相談に対応した。二二日までの五日間で全国から五〇〜六〇件の相談が寄せられ、その深刻な生活実態があらわになりつつある。
ユニオンでは、会社には賃金補償を、労働基準監督署に対しては日雇い雇用保険の適用を求めていくよう、相談者に呼びかけている。
労働基準法は、雇用主に解雇の三〇日以上前にその予告をすること、予告しない場合は、賃金保障(解雇予告手当)を義務づけている。日雇い派遣労働者も一ヵ月以上継続して働いていれば、これに該当する(労基法第二〇条・第二一条)。
だが、GWは解雇予告手当を払っていない。つまり解雇していない。ならば、仕事を紹介しないのだから、グッドウィルには休業手当の支払義務がある(労基法第二六条)。
現時点では、会社は賃金保障に応じていないが、ユニオンは労働者に労働基準監督署への申告を呼びかけている。監督署の指導によって賃金保障が義務づけられることになれば、劣悪な労働環境を強いる派遣会社をさらに追い込むことになるだろう。