[海外] アメリカ/報道されないイラクの市民運動
──ビル・ウェインバーグ(12/22『ジューイッシュ・ピースニュース』より)
アメリカの占領支配を撃つイラク自由会議
イラク報道はテロや虐殺事件ばかりで、占領軍や拷問政権、イスラム主義やバース党残党の反乱勢力に対峙する市民運動がヘッドラインに上がることはない。
この市民運動は、絶えず両勢力から抑圧と殺害の脅威に晒されている。女性の基本的な自由、アメリカの下請け会社ハリバートン社等に対する労働運動、石油やその他天然資源の私的所有化反対運動、政治の世俗主義化を等を求めて闘っている。彼らは、傀儡政権と反乱勢力の両方を「政治的イスラム主義」と呼んで、反動的擬似神政体制を押し付けると批判している。
政策研究所のフィリス・ベニスは、「かなり多くの組織運動 ― 石油労働者や人権擁護団体等の労働運動や市民運動 ― が、命がけで占領に反対しているのに、あまり世界に知られていない。その多くは米軍支配のグリーン地帯の外で活動しているため、西側のメディアの目に触れず、噂を聞いても取材に行かないのだ」と言っている。
七月四日、バグダッドの市民自衛団の指導者が処刑された。市民抵抗グループの連盟であるイラク自由会議(IFC)によれば、米軍特殊部隊とイラク国防軍が、午前三時に、アブデルーフセイン・サッダムの自宅を急襲、無警告に彼と彼の娘に発砲し、血を流して苦しむ娘を置き去りにして、アブデルーフセインを連れ去った。二日後、彼の死体が死体置き場で発見された。
昨年末より彼は、IFCの地域社会を守る市民パトロール隊の指導者として活動していた。多くのIFC活動家と同じように、彼もサダム・フセイン政権に反対し、一九九〇年代に二年間投獄された経験がある。ほとんどの西側メディアは彼の殺害を報道しなかった。
八月三日、日本の反戦組織ZENKO(全交=平和と民主主義をめざす全国交歓会)の活動家約一〇〇人が東京の米大使館前でこの殺害に抗議した。「米とイラクの治安軍は市民の人権を守るためのものか、それともビッグ・ブラザーの殺人機械か?その答えは、アブデルーフセインの死にある!」という横断幕が印象的であった。
IFC指導者二人が演説をした。サミール・アディル議長は、「彼は『スンニ派にもシーア派にもノー!人間にイエス!』と言ったから殺害されたのだ。占領も宗派民兵もない市民社会をイラクに建設することを望んだから殺害されたのだ。彼を殺せば、自由で暴力のない社会実現を訴える唯一の声であるIFCを潰せると思ったのだろう。しかし、彼の死後IFCに入会する人々が増えている。あなた方の支持がある限り、私たちは決して諦めない」と語った。