[情報] 釜ヶ崎労働者の仕事をめぐる2つの闘いが進行中
あいりん職安と西成労働福祉センター
今年三月、「住民基本台帳法の適正化」を口実に、釜ヶ崎解放会館やふるさとの家・NPO釜ヶ崎に住民登録をしていた日雇い労働者・野宿生活者が大阪市によって職権消除されてから九ヵ月が過ぎた。住民票消除された二〇〇〇人以上の人たちは、仕事や行政サービスを受ける上で、厳しい状況に置かれている中で、今日も必死の思いで生き抜いている。
いま釜ヶ崎では、「日雇い労働者の街」の根幹を問うような二つの闘いが始まっている。今後の展開次第では、釜ヶ崎全体を揺るがすような動きにもなる可能性がある。 (編集部)
あいりん職安は仕事を紹介せよ
一つは、「あいりん職安は仕事の紹介業務をせよ」という取り組みだ。これは、釜ヶ崎地域合同労働組合委員長の稲垣浩さんが以前から継続的に取り組んでいる課題だ。
「あいりん総合センター」の三階にあるあいりん職安は、職業安定法第八条の「公共職業安定所は、職業紹介、職業指導、雇用保険その他この法律の目的を達成するために必要な業務を行い、無料で公共に奉仕する機関とする」との規定に反し、全国で唯一仕事の紹介業務をしていない。
国をはじめ行政側の言い分は、一貫して「早朝ということもあり、労働者と業者が直接やりとりする相対方式がなじんでいる」「仕事の紹介業務は西成労働福祉センター(大阪府の外郭団体)、あいりん職安はアブレ(日雇労働者失業保険)の支給と役割分担していて、支障はない」というもの。
この間、稲垣さんは朝八時からのあいりん職安に失業手当の受給手続きに来る労働者に向かってこの問題を連日訴え続けている。
「賃金未払いとか労災もみ消しとかの原因にもなる。国がキチンと責任を果たすべき」という稲垣さんの連日の訴えに、「言われてみれば、仕事を紹介しない職安なんてオカシな話やな」という声が上がってくるようになったそうだ。
一一月七日には、あいりん職安を管轄する大阪労働局との交渉を行った。「他の日雇い労働者の街である山谷でも寿でも、笹島でも仕事の紹介をしている。最初は五件、一〇件でもいい。数は少なくてもいいから、まずは職業紹介を」という労働者側の要求に対し、労働局側はこれまでの見解を繰り返すばかりだった。
稲垣さんたちは、二回目の交渉を求めているが、職安は申し入れ書の受け取りを拒否している。