[投書] 言わせて聞いて第1297号
釜ヶ崎で増加する外国人旅行者宿泊を地域労働者の仕事につなげよう●大阪・西村均
ここ数年、釜ヶ崎の簡易宿泊所に(以下、簡宿)を利用する外国人旅行者数が大幅に伸びている。〇五年の三万泊が、今年(〇七年)は五万泊に達する。利用者は理由として「安い」「交通の便がいい(神戸・京都・奈良へと都合がいい)」を挙げている。
この流れを作ったのは、簡宿経営者の、地域の変化に対応しようとする動きだった。
現在、地域労働者の平均年令は五八・九才。「釜ヶ崎は『労働者の街』から『福祉の街』になる」と言われて久しいが、簡宿の中には福祉アパートに変わったところも多くある。
その一方、簡宿そのままでの営業を経営者は考え、外国人旅行者の利用増を図った。インターネット・空港・駅での宣伝や部屋の改装などの経営努力が五万泊という数字になっている。
これを受けて、阪南大国際コミュニケーション学部国際観光学科の松村嘉之准教授は、「釜ヶ崎を外国人旅行者が訪れ易い街にしていく、それは地域労働者の仕事を作ることにもなる」と考えた。
そして、学生たちを伴って、地域商店街で飲食店のメニューを英語をはじめとする多言語のものにするなどの具体的な活動を続けている。
松村さんは、学生たちにこう語りかける。 「色々な人たちや地域のことを知って理解すること、お互いに理解し合うこと、本当の意味でのコミュニケーションを取ることがとても重要。それができないと、偏見や差別がうまれ、不幸な暴力にもつながる」
高齢化した釜ヶ崎労働者には、従来の仕事は回ってこない。それは、白手帳所持者数の激減に端的にあらわれている。
また、市内に多くのネットカフェが散在するように、ケータイの普及によって、かつてのドヤ街の、日雇労働者供給源という役割は、使う側からすれば不要のものとなった。
だが「かつてのドヤ街」でも、そこには多くの人たちの生活がある。ただそれは、現状のままでは行く末に不安しか持てない生活だ。
「特掃求人を増やせ」という要求一つとってみても、誰もが実現不可能とわかっている。ダメなことを言い続けて楽しいわけがない。
こうした中で、松村さんの研究・行動は、新しい将来を提起している。外国人旅行者宿泊増加は、多種にわたる仕事を必要とする。今ある限られた選択肢に、可能性のあるプラスを得ることは、地域労働者の生活の安心感にとって意義がある。
「暴力団」追放の名分で人の生存権を脅かすな●大阪刑務所・古城義樹
大阪中央区にある「ケンユウ塗装」が、暴力団に関連する業者として、市の入札や公共工事から排除された、と新聞で知った。その理由が「元山口組最高幹部の葬儀を執った」というものである。
これは準組葬であったが、この方は、故人になる前に引退されていた。仮に引退していなくとも、会社は、奥方や御子息のもので、経営に関係がない。
映画「極道の妻たち」ではないが、愛して一生を共にと伴侶になった男が侠客であっただけで、何も悪い事はしていない。ましてや伴侶であれば、息子であればヤクザか否かを別に葬儀を執って何がおかしいのか。故人を忍ぶ方々を招いて、なんの道徳に反するのか。
一〇月一五号三面に載ったが、警察・行政は、「暴力団」と一方的に呼称して、彼らを住宅等から閉め出している。法の下の平等や勤労の義務をとり上げ、更には生存権すらおびやかしている。
おい、おかしいだろう。「人間が専制と圧迫とに対する最後の手段としての反逆に訴えることがないようにするために、法の支配によって人権を保障することが肝要である」(世界人権宣言)のであるから、今一度、人としての精神を育もうではないか。
精神障害者の生き辛さ●大阪・大野忠雄
精神障害者のみなさん、元気で生き抜いていますか?
私は四年間で四回、入退院を繰り返しています。精神障害者二級手帳所持者です。現在、居宅生活保護です。
「貧困格差」が言われています。もちろん、私もいつ生活保護が打ち切られるかビクビクしています。もし打ち切られたら、「やられたらやり返す」つもりですが、今、私が望んでいることは、精神障害者として生きていく上での情報です。現状は、あまりにも貧困なのです。
必要な情報が、必要とされる当事者に届いていません。「手帳はどのようにしたら取得することが出来るのか?」とか、「退院してその地域で活用できる社会資源は?」等々。
行政に問い合わせれば、「公報」や「ホームページ」に載せてあるとの返事…。
それでは、各公共施設で「インターネット」を設置し、無料で開放せよ!