更新日:2008/1/3(木)
[海外] 貧困者への戦争しかけたサルコジ大統領
「若者暴動」と中産階級の保守化
一一月一八日から、サルコジ大統領が打ち出した年金制度改悪(年金の満期を三七・五年から四〇年にする)に反対して、フランス国鉄・パリ市交通局をはじめ様々なところでストライキが行われました。全国で三〇万人、パリだけでも三万人ほどが街頭デモを行い、六八年以降、史上最大のゼネストとなりました。
フランスの労働運動は大きく二つに分岐し始めています。SUD(連帯・統一・民主)のように積極的に独自のビジョンを出してラディカルに政府と対決する勢力と、CGT(フランス労働総同盟:共産党系)のようにサルコジ政府との妥協を探る主流派です。
フランスで最も組織率の高いCGTは、階級闘争の概念を捨て去り、個別企業との交渉によって労働条件を上げていくという路線を採っています。企業内組合主義は正規職労働者中心なので、非正規や失業者・貧困層は切り捨てられます。これに対し、独立系であるSUDやCGT―FO(フランス労働総同盟・労働者の力)は、失業者の権利を含むラディカルで社会的な労働運動をめざしています。
政党が新しいビジョンを出せなくなっているのに対して、社会運動体が現場での経験や知識を蓄積するとともに専門家も組織し、政党に代わって政策提言を行うようになっています。賛否はありますが、「政治には関与しない」としていたATTACなども、貧困問題や環境問題で積極的に政策提言し始めています。
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