[海外] イスラエルのネオ・ナチ
クリス・マルスデン(9/15ワールドソーシャリストウェブサイト)
ユダヤ民族中心主義こそ排外主義の根源だ
イスラエルにネオ・ナチ集団がいたことで大騒ぎとなっている。ヒステリックに騒ぐよりも、それがイスラエル社会の何を表現しているのかを考えるべきだ。
傷害、武器不法所持、ホロコースト否定の罪で八人が告発され、一人は国外逃亡した。旧ソ連から移民してきた一六歳〜二一歳の若者たちである。帰還法では、祖父母の一人がユダヤ人であれば自動的にイスラエル国籍が与えられる。
テルアビブのシナゴーグがカギ十字の落書きで汚され、三人の宗教学校の生徒が暴行され金品を盗られた事件を捜査した警察は、スキンヘッドで、ナチの刺青をしていた人種差別集団を容疑者として逮捕した。アジア人出稼ぎ労働者、麻薬中毒者、同性愛者、パンク、正統派ユダヤ教徒などに暴行を振るっているのを写した写真やビデオや、ナイフ・TNT火薬・起爆装置等も押収した。
国家宗教党首のエフィ・エイタムは、たとえ祖父母がユダヤ人でも、本人が非ユダヤ教徒なら移民を認めない法案を提出すると言明した。「兵役を忌避する非ユダヤ人移民は、イスラエルのユダヤ性を損なうもので、是正しなければならない」と。
一九九一年以降、旧ソ連からの移民は約一二〇〇万人。これは、国内のアラブ系の人口がユダヤ人を上回る恐れが出てきたので、必死になってユダヤ人集めをやった結果である。
エイタムが反動の片面を表しているなら、副首相で戦略担当相アヴィグドール・リーバーマン(イスラエル・ベイテヌ党)はその裏面だと言えよう。彼は帰還法改変に反対し、「ロシア移民中傷キャンペーンをやめよ」と叫んでいる。それは、彼の党の支持基盤が旧ソ連からの移民社会であるからである。彼は、今問題にすべきは旧ソ連からの移民ではなく、不法外国人労働者やスーダンなどジェノサイドの犠牲になっていない地域からの移民だと言う。