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更新日:2007/11/18(日)

[コラム] 五味正彦/毎日使う箸だから

NHKテレビの朝の連続テレビ小説の舞台が若狭のお箸屋さん、というためかどうか(すみません。見たこともないのに前フリしてしまった)、今、私(たち)のまわりで箸の話が盛り上がっている

私が参加しているメーリングリストにも別々に二つの国産箸テーマの集まりがあって(と言っても実は、私は今のところパソコンにさわれないので、スタッフに読み書きしてもらっている恥ずかしい状態なのだが)、他にも話題になっているホームページやブログがいくつもあるそうだ。

特に注目されているのが、森林ジャーナリスト田中淳夫氏の「だれが日本の「森と木と田舎」を殺すのかhttp://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/」と「樹恩ネットワークhttp://www.univcoop.or.jp/juon/」  。

いずれも今年になって国産割り箸の重要性をテーマにした本を出しているので、こちらも注目して欲しい。

・『割り箸はもったいない?』(田中淳夫・ちくま新書)

・『割り箸が地域と地球を救う』(JUON(樹恩)NETWORK・創森社)

私が以前に本紙で問題提起した(人民新聞第一二七二号)「環境問題の常識≠ェ林業活性化の壁になる 」と言い表し方は違うが、共通の問題意識に基づく本二冊だ。

毎日使う箸だから、改めて論点を整理してみよう。

熱帯雨林だけでなく、国内の木を切り、使うこともよくないという思いこみがまだ多い。植林した木は野菜と同じ。上手に植え、上手に切り、上手に使い、そしてそこでの売上をまた山に戻す、という循環型林業の考え方に立とう。循環型農業と同じだ。

マイ箸運動≠フ押しつけはやめて

箸の話。ある時期まで、私たちが毎日使う箸はシンプルに分けると二種類だった。家庭で使う若狭塗などの塗り箸(材料は国産の木とうるし)。外食時の割り箸。吉野の製箸が一番有名だが、全国各地に製箸屋さんがあって、その地で切られ、材木になった残り(これを端材と呼ぶ)から大切にゴトゴト作っていた。丸い木から四角の材木を取るのだから、たいてい四枚の薄い半月状の端材が残るのだ。

これが十数年前の中国製割り箸の急増でおかしくなった。そして二〇〇五年には国産率二%を割った。話は違うが(いや、根っこは同じ)タオルも同時期に同じ事になって緊急輸入制限をされている。その結果崩壊した愛媛県今治市のタオルの話はいずれ書く。

塗り箸もアクリル・ウレタン塗りのような石油系が圧倒的。たまにうるし塗りもあるが、ほとんどが材・うるし共に中国製になってしまった。

一本の木を樹皮も含め、まるごと使う。このことで仕事が残り、雇用が生まれ、お金が動き、木が植えられ森ができる。小さいけれど国産割り箸は象徴的な産業なのだと思う。観念だけのマイ箸運動を、少なくとも人に押しつけることはやめてほしい。

私は家で吉野の天削割り箸を一月近く使っている。一年一人二〇膳以内で住む。私たち有機本業が吉野と組んで作った高級割り箸だが、二〇膳でも五二〇円。使い勝手も塗り箸よりいい。マイ割り箸運動≠ナも提唱してみようか。

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