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更新日:2007/11/16(金)

[コラム] 津田光太郎/「インド洋給油活動反対」の先に「米国の戦争」へのNO!を

福田政権がスタートし、第四代防衛大臣に着任した石破茂防衛相は、「テロ対策特別措置法」にもとづくインド洋での海上自衛隊による給油活動の継続問題に触れ、「高度な技術を必要とする補給活動はわが国にもっともふさわしく、これを継続することは国益であるとともに国際社会への責任」であり「洋上補給以外の部分を全部捨てても、一一月一日でテロ対策特別措置法の期限が切れた後の中断期間を最小限にとどめるべきだ」と活動継続に向けたあらゆる可能性を追求する決意を表明した。

件の「特措法」延長が参議院で破綻することがほぼ確実な情勢の中で、「それでも頑張ったんだ」と言うための福田政権主導による勉強会やら議員向けの講習会が盛んに行われているという。

いわく「インド洋での洋上補給は、パキスタン艦船をはじめフランス、イタリアといった国の艦船にも補給活動を行っており、米軍のためだけではない」「限られた数の船舶が広大なエリアで不審船をチェックする場合、港に戻って給油していては時間のロス。洋上給油することで広大なエリアでの国際的なテロ阻止活動の継続が可能になる」(鈴木防衛政策局調査課長)。揚げ句の果てに、「海上輸送・貿易に依存して生きている日本のシーレーン防衛のため必要」といった珍説・奇説まで飛び出している。

しかし、洋上給油の目的は、自衛隊の幕僚が明言している通り、「アフガニスタンなどで継続されているテロとの戦いは、陸上での掃討作戦と海上での阻止作戦が両輪」(斎藤統幕長)だということであり、米軍の軍事作戦の紛れもない一環だ。だが、洋上給油に限って言えば重要性を強調するあまり「両輪」と言うのはいかにも言い過ぎだ。そもそもこの地域での多国籍軍の海上哨戒は、米軍によるアフガニスタン制圧作戦によって掃討されたアルカイダ・タリバン等の「残党」が、パキスタンなどを経て船で他国に逃亡することを阻止する目的で始まった。

しかし、実際にはそうはならなかった。陸上の掃討作戦は、米軍にとって「落ち武者狩り」どころか、内地に新たな敵対者を倍増させる結果になってしまった。つまりこの計画は始めから頓挫しており、両輪の片方である海上の輪は、実際のところ機能を失っている。米国が日本に対して洋上補給を「今、是が非にも」と言ってこないのも、そうした事情があるからだろう。

ただ長期的にはそれだけではない。「テロ・ネットワークとの『長い戦争』の下にある」(QDR=四年毎の国防計画の見直し文書)と米国は言う。「テロ・ネットワークへの執拗な攻撃でテロ・ネットワークの聖域確保を阻止することが必要」であり、聖域の存在を許せば「米国本土への二度目の攻撃がありうる」というのが米国の基本的な立場だ。だから「執拗な攻撃」を今続けることが必要だというのであり、これは公式の多国籍軍の海上哨戒任務に謳われていなくとも、この軍事作戦遂行のためにインド洋での洋上兵站補給は、なくてはならない。

今、インド洋上の自衛隊の給油活動を止めさせる好機であり、ぜひともこれを実現させたいと願うが、その軍事的意味はそれほど大きなものでないのも事実だ。だから本当に必要なことは自衛隊の給油活動を止めさせるその先に、この地域への「執拗な攻撃」を繰り返す米軍の世界戦略そのものに釘を刺し、協力を拒否する立場を鮮明にすることだと思う。

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