[社会] NTT労働者のおそるべき実態
正社員への労働強化は「非正規雇用」増大と表裏一体
評価制度で社員をがんじがらめ、「全社員販売」「WEB学習」でサービス残業強要
T・Mさん(四七歳)は、NTT西日本─兵庫と出向先の鰍mTTネオメイト(本社・大阪市)を相手取って、不払い残業分の賃金支払いを求めて、大阪地方裁判所に提訴した(初公判は一〇月二六日)。『成果主義賃金制度』の導入に伴う、始業時前の早朝仕事や勤務時間外の営業活動(「全社員販売」)、インターネットを利用した「WEB学習」の強要は、時間外労働であるとして、その不払い賃金の支払いを求めるものだ。
Mさんは、電信電話公社(電電公社)民営化四年前の一九八一年に入社し、勤続二六年。現在は、グループ企業のNTTネオメイトネットワーク本部ITオペレーションセンタに出向中だ。
民営化路線の「優等生」=NTT
八五年の電電公社民営化以降、NTTは政府の新自由主義政策・民営化路線を象徴する「優等生」として存在してきた。徹底したリストラを進めて、不採算部門やサービス窓口の廃止・集約をおこなってきたのである。
さらに九九年七月のNTT再編(分割化)を経て、電気通信サービス分野での規制緩和が進むことで、「新規参入する企業との競争」を名目にした、NTT労働者への攻撃が激しくなる。それが〇六年四月『成果主義賃金制度』導入だった。
NTT西日本が〇六年四月からNTT労組との合意で実施した『成果主義賃金制度』は、「固定給」である年齢賃金を廃止して、会社からの評価で増減する成果手当、成果加算へ移行させるものだ。さらに扶養手当を大幅減額した。
労働者は、業務目標の達成度に応じて、SA・A・B・C・Dの五段階で評価を受ける。C・D評価の労働者は昇給の対象外とされ、ボーナスではC評価で制度導入前と同程度の金額、D評価では大幅なダウンになる。
労働者は毎年四月に『チャレンジシート』に具体的な業務目標・学習目標の記入─提出を求められる。簡単に達成できる目標を書いても、上司から「こんな事できても意味がない」と叩かれ、大きな仕事を実現してもチャレンジシートに記入していなければ、その点を突かれるという。イジメの口実にもなっている。