[社会] 生活保護の違法な窓口規制で生存権を奪う行政
近畿生活保護支援法律家ネットワーク設立総会
一〇月六日(土)、エルおおさか(大阪市中央区)で「近畿生活保護支援法律家ネットワーク設立総会兼第一回実務研修会」が行われた。
このネットワークは、生活保護を受けようとする人たちを支援する近畿地方の司法書士・弁護士の集まりだ。同様のネットワークは首都圏・九州で設立されており、全国三番目となる。
会場には、法律関係者だけでなく、一般の参加者含め、約八〇名が集まった。「最後のセーフティネット」と言われる生活保護がテーマとあり、参加者はそれぞれ、現場からの報告を食い入るように聞いていた。
「私は、区役所で『寮から生活保護の申請はできない』と言われて、用紙すら渡してもらえませんでした」──昨年七月、慢性心不全で仕事を続けることができなくなったAさんが、大阪市住吉区役所で生活保護の申請拒否にあった体験談を話語った。
会社寮には入っていたものの、日雇いの仕事で健康保険にも入れなかったAさん。息苦しさを我慢していたが耐えられなくなり、六月に病院へ行った。八月に医師の診断書を持って、再度窓口を訪れるが、それでも断られたという。
その後、友人に紹介してもらった「生活と健康を守る会」(生健会)の人に一緒に申請してもらい、昨年八月三一日にやっと申請が受理された。
今年八月二二日、大阪市と「全大阪生活と健康を守る会連合会」(大生連)の生活保護交渉で、Aさんの申請拒否について、大生連が「橋の下にいても申請はできる。基準を示して指導せよ」と市当局を追及。当局も、「寮からでも申請できる」と認めた(八月二七日、住吉区健康福祉課も、交渉で市と同様の回答)。
最後にAさんは、声を詰まらせながら、「自由に生活保護を申請できるように、申請用紙をカウンターにおいて欲しい」と訴えた。
生活保護申請に同行した司法書士・弁護士は、窓口の対応について、異口同音に、違法な「水際作戦」の酷い内容を語った。窓口では、生活保護の申請用紙を渡さなかったり、相談中に嫌がらせや、罵詈雑言を浴びせるなどの精神的苦痛を強いることにより、申請そのものを諦めさせる手段をとっている。