更新日:2007/11/14(水)
[海外] 格差を拡大する東エルサレムの教育制度
──AIC シル・ヘベル
教育受けられぬパレスチナの子供
一九六七年、イスラエルが東エルサレムを併合した時、イスラエルは、当然東エルサレムの住民の安寧と人権に対する責任を、宗教や民族に関係なく、負うこととなったはずだ。
教育を受ける権利は、最も基本的な人権の一つである。またすべての人々への教育の保障は、イスラエルが建前にせよ標榜している「多元社会的民主主義」にとっても、不可欠なものである。
教育は、長期的には人々が自分以外の人々とも平等に付き合う社会的能力を育む上でも、特に重要である。
しかしイスラエルの教育制度は、ユダヤ系国民とパレスチナ・アラブ系国民の間の格差を維持・拡大しているのが実情である。東エルサレムではその格差と差別が特に顕著で強い。
東エルサレムの経済状況は悪化の一途をたどり、不平等は拡大している。パレスチナ人世帯の六六%、パレスチナ人児童の七六%が貧困ライン以下の生活をしている。エルサレム全体の人口でパレスチナ人が占める割合は三四%で、エルサレム市労務職に雇用されているムスリム男性の割合は、ユダヤ人男性の割合より多いにもかかわらず、貧困層の五六%、貧困児童の五八%がパレスチナ人である。
エルサレム市全体の児童・生徒数のうち、パレスチナ人の割合は四二%を占めているが、割り当てられる教育予算は二〇%に過ぎない(この数字は政府統計によるもので、実際にパレスチナ人学校へ降りてくるお金はもっと少ない)。そのため学校のインフラは危険なほどお粗末で、多くの学校の学習環境は劣悪そのものである。
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