[社会] 日本郵政(株) 郵政民営化で相次ぐ非正規職員の自殺・過労死
主業務になう16万人の非正規職員
一六万人の非正規雇用労働者を抱える一大民間企業が誕生した。日本郵政株式会社だ。非正規労働の総合商社とも言われ、月給制・日給制・時給制・パート・アルバイト・派遣・請負と、あらゆるタイプの非正規労働者が、配達・金融業務など主業務を担っている。
一〇月一日、民営化を迎えた郵政職場は、人手不足にさらされている。パワハラや労働条件の悪化に嫌気がさして九月末で大量の職員が辞めていったことに加え、「しんどい職場」との噂が地域で広がり、職員募集しても応募が少ないという。ゆうメイトと呼ばれる非正規労働者の実態と、郵政非正規労働運動の今を報告する。
一九才ゆうメイトの自殺
今年六月、越谷郵便局で配達業務をしていたAさん(一九才)が、マンション七階から飛び降り自殺した。Aさんは、昼間はゆうメイトして配達業務を行いながら定時制高校に通い、今春卒業。郵政の非正規職員として配達業務を行っていた。
自殺した日、Aさんは、郵便物の誤配で課長、課長代理から厳重に注意されたうえ、局内放送で謝罪文を読み上げさせられている。夕方、課長とともに謝罪に行く予定で配達業務に復帰したが、配達終了後マンションから飛び降りた。
事件のあと、越谷郵便局は局内に緘口令を敷き、Aさんの死から六日後になって、はじめて朝礼で説明を行ったという。
トヨタ自動車の現場管理システムをモデルに導入された「JPS(ジャパン・ポスト・システム)」は、無駄な作業を徹底的に省いたコストダウンを謳った。民営化に先立ってモデル局として指定された郵便局のうち、「トヨタ方式の総本山」と呼ばれたのが、埼玉県越谷市大沢にある越谷郵便局だったのである。
「これだけ技術が発展して生産力が発展しているにもかかわらず、労働が楽にならないどころか、死ぬ人間まで出るのか」。越谷在住で明海大学の横本宏教授は、「地域から郵便局を考える会」の発足の集いでこう語っている。