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ハッサンさん(左)と「イラクの子どもを救う会」の西谷さん(右)
更新日:2007/09/23(日)

[海外] イラク/米国の占領はフセイン以上の暴力と混乱をもたらした

はじめに

フリーライターのハッサン・アボッドさん(41)は、イラク「ラーシッド」紙等に記事や詩を寄稿するかたわら、日本からの募金や医薬品をイラクの人々に配るというNGO活動に従事してきた。

イラク国内の治安の悪化で、民衆を標的にした誘拐事件や爆弾事件が増え、今年3月、ハッサンさん自身も身代金目当てのグループに誘拐され、危うく殺されかけたという。

ブッシュ大統領は「成功による帰還」として駐留米軍を削減すると発表したが、それとは裏腹にイラク国内の混乱は一向に収まる気配がない。ハッサンさんに、最近のイラク情勢について聞いた。(通訳・「イラクの子どもを救う会」西谷文和さん)

イラク人ジャーナリスト、ハッサン・アボッドさんインタビュー

──今のイラク情勢について聞かせてください。

今イラクは、外国人だけではなく、イラク人にとっても危険な状態です。

どの時間帯、どの場所──学校や商店街で爆発が起こってもおかしくありません。繁華街に仕掛けられた自動車爆弾、そして強盗や身代金目当ての誘拐事件、殺人事件が起こっています。今イラクにイラク人を守る組織はありません。

金目当てに無実の人に危害を加える「ギャング」は、イラクのジャーナリスト・医者・大学教授・警察官などを暗殺しています。それぞれの職業人を狙うギャングの専門チームがいます。

彼らは、そのほとんどが若者です。戦争で家族を失ったり、職がなく、教育も受けられず、未来に希望が持てない。今の子どもたちは、生まれてからずっと、戦争と暴力の中で育ってきたわけです。アメリカの戦争がこういった暴力の連鎖を生み出し、一部の若者をギャングに追いやっているのです。

こういったグループは、アメリカの占領と闘っているレジスタンスと明確に区別すべき存在です。

──イラク民衆の暮らしはどうですか?

米軍の爆撃で破壊された発電所や上水道が、まだ復旧していません。

確かにこれまで、自衛隊を含む各国の軍隊・NGOが、道路や学校、水道施設を修復しましたが、それはイラク市民にとって、ほとんど役に立っていません。

特に、上水道が寸断されているため、きれいな水が不足しているのは致命的です。人々は水を川から直接汲み上げて使うため、非衛生的で、下痢に悩まされたり、疫病が流行っています。

電気もほとんど来ません。冷蔵庫が動かず、主食の肉を保存しておくことができないため、お金のある人でさえも肉を買えないのです。

また、イラク戦争後、物価が高騰しました。特にガソリンの値段は、五〇倍に跳ね上がりました。ガソリンスタンドでは、どこも給油待ちで二四時間以上待たなければなりません。

イラク市民の収入は多少回復しましたが、物価の上昇が上回っているため、生活は厳しい状態が続いています。市場には食料品などの生活物資はかなり豊富に出回っていますが、値段が高く、一般の市民は、なかなか手を出せません。

薬の不足も大きな問題です。わずかに流通している薬も、その質はひどいものです。子どもに腹痛の薬を飲ませたら、頭痛が起きたりします。医薬品をチェックする政府機関が存在しないのが原因です。

「爆弾事件」の被害者は、ヨルダンで治療を受けるために移送されますが、警察が「要治療」の判断をする時に、ケガが重いか軽いかより、賄賂の有無、政府との政治的なコネが優先されます。

「フセイン時代、私たちの暮らしは困難だった。しかしイラク戦争後は、もっと困難になった」というのが、私たちの実感です。イラク人は新政府に対し怒っています。しかし、イラク新政府が何もできないこともわかっています。

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