[コラム] 有機本業代表 五味正彦/国内フェアトレードグッズの流通について考える
本紙七月五日号で「国内フェアトレードグッズの流通」について考えてみた。
今回はその続き、「商品を先に見て手にとって選べないことだ」の問題点を考えてみよう。この欠点を補うため、例えば「関西よつ葉連絡会」を構成する各販売会社や生協はミニショップを展開している。ミニだけでなく高槻の「自然館」のようにコンビニ並みの広さのものもある。──もっともよつ葉連絡会の方でそう位置づけて展開しているかどうか、直接聞いたわけではなく、私の勝手な推測であるに過ぎないのだが。
全国に自然館やふるさと広場のような、自然食品店、オーガニックショップはどれくらいあるのか。私はここ数年で三冊の全国版自然派ガイドを企画してきた。 ◎『やさしいくらしの店─自然派ショップ全国ガイド』/野草社刊 ◎『おいしいごはんの店─自然派レストラン全国ガイド』/野草社刊 ◎『天然酵母のパン屋さん・全国ガイド』/地湧社刊
いずれも多くのスタッフの手で出版にまで至ったものだが、ベースになっているのが、私が長年かけて全国を歩き、多くの人々・団体に会い、その地域のいい人・いい店・いい生産者を教えてもらい、作ってきた五味専用の全国ネットワーク名簿である。
たぶん私以上の名簿を持っている人・団体はないだろう。例えば天然酵母のパン屋さんには、憲法九条問題を熱心にやっている人が多い。九条パンのグループまであるくらいだ。京都には「九条」という日本酒があって、これがどんどん拡がっている(かどうかは知らない)。なんていうことを知っている人はあまりいないだろう。
このように自然派≠フ店に詳しい私の計算では三千店程の自然食品の店・自然派の店がある。このうち利益率がすごく高い化粧品・サプリメント中心の店や、あやしい売り方(催眠商法)のチェーン店などを除くと、約二千店がちゃんとした店だ。
いわゆる自然食品店・オーガニックショップのほか、エコ雑貨店・フェアトレードショップというジャンルの店もある。助産院や医院・歯医者でも、自然食品・安全な食品・せっけん・フェアトレードグッズを売っているところもある。
前述の本の取材でわかったのだが、天然酵母のパン屋や自然派のカフェ・レストランの多くも店頭にコーナーをつくり、いろいろ食品や雑貨を売っている。こういうのを合わせた約二千店だ。
これらの店で売られる商品は、どうやって生産者・つくり手から店に並ぶのか。多くは一般の食品・雑貨と同様、自然派向きの専門問屋があって、店の方では複数の問屋を使い分けることが多い。と同時に、一般の食品店や雑貨店と違うのは、産直仕入れが多いということだ。
朝市復活のすすめ
産直のきわめつけは、生産者が直接自分で売ること。
大昔・物々交換の時代から交通の要所や大きな生産地の近くには「市」が立ったのだと思う。神社や寺の境内も市の場所となった。
それがいつしか常設店が中心になり、今日では個人経営・家業としての店も、巨大チェーン店やコンビニに負けて終わりつつある。
少量生産物を売るには、朝市型の生産者直販が最適。全国各地に朝市が復活されればと願う。