人民新聞オンライン

はじめに

ブッシュ政権重要閣僚の辞任が続いている。先月だけでも、27日のアルベルト・ゴンザレス司法長官の辞任表明に続き、31日には、側近中の側近で「ブッシュ再選の最大の功労者」と言われたカール・ローブ次席大統領補佐官と、ワイトハウスの顔となってきたテレビキャスター出身のトニー・スノー大統領報道官が辞任を表明した。

政権支持率も30％を割り込み、ウォーターゲート事件で辞任したニクソン大統領と並んで過去最低。不支持率は６割を超える状態が続いている。原因は明確で、混迷するイラク情勢に米国民のなかに嫌戦ムードが蔓延しているからだ。イラク戦争の戦犯とも言うべきブッシュとチェイニーへの弾劾要求が高まっている。米国からの報告だ。（編集部）

九月一五日ブッシュ弾劾全米集会

人びとが躊躇うことなく、ブッシュ大統領・チェイニー副大統領の弾劾をメディアやインターネットで語り始めた。共和党からも、ロン・ポール下院議員（テキサス州・二〇〇八年大統領指名選挙に立候補）のように、大統領弾劾を公言する議員もでてきた（注�@）。反戦諸団体は九月一五日「イラク撤退・ブッシュ／チェイニー弾劾」を基調にワシントンＤＣで集会・デモを計画。全米に参加を呼びかけている。

ニクソン大統領は、民主党本部への侵入・盗聴を指示し、下院の弾劾が避けられないことを知ると、弾劾決議前に辞任した。クリントン大統領は不倫問題で偽証したとして、下院は弾劾決議を可決した（上院では有罪判決は免れた）。

各地で高まるブッシュ不信の声

では、ブッシュ大統領の行状はどうか。

七月の世論調査で、国民の半数近くが「ブッシュ大統領は弾劾されるべきだ」と考えていることが分かった。 それによると、四五％の人が下院がブッシュ大統領弾劾の手続きを開始することを支持し、反対は四六％。チェイニー副大統領については、支持五四％、不支持四〇％だった（注�A）。

クリントン大統領への弾劾について、三九％の国民が同大統領の弾劾を支持したのに較べても、ブッシュ大統領への不信ははるかに深刻だと言える。

市民団体が挙げる弾劾理由は次の通りだ。

�@イラクに大量破壊兵器があるとの虚偽の情報を使って、議会と国民を欺いてイラク戦争を強行した。（二〇〇五年五月、英国紙サンデー・タイムズが「アメリカ合州国と英国は、〇二年の夏にはイラク攻撃について合意していた」ことを示す記録（ダウニングストリート・メモー）をスクープ（注�B）。当時ブッシュ大統領は「すべての選択肢を考慮に入れる」、「戦争の予定表は存在しない」と語っていた）。

�A合衆国憲法修正第四条（不当な捜索・押収・逮捕の禁止）及び、外国諜報活動偵察法（ＦＩＳＡ）を無視し、同時多発テロ事件後、国内においては、テロを防ぐとの口実で、令状なしに個人情報の違法盗聴を行っていている。（二〇〇五年一二月、ブッシュ大統領自身、令状なしで盗聴を行っていることを認めた。

�B合衆国憲法修正第八条（過酷・異常な刑罰の賦課の禁止）及び国際条約であるジュネーブ協定を無視し、イラク人捕虜やテロリスト容疑者を拷問・虐待している。