[投書] 言わせて聞いて第1287号
東京拘置所における処遇の改悪について●東拘・和光晴生
五月三一日に、当局から、「監獄法」改正版である「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」が、未決囚にも施行されることになったとの通知が口頭と文書とでなされ、翌六月一日からとんでもない改悪が実施されています。
第一に、手紙の発信が平日に一通のみ、とされてしまいました。さすがに弁護人宛は別枠とのことですが、これまでは「特別発信願い」という願箋を添えることで一日四通までは認められていたのです。
土・日・祝日は発信できないので、一ヶ月に二一通ほどしか手紙を出せないことになってしまったわけです。これでは差し入れ・面会へのお礼や返信などが追いつかなくなります。実に困っています。
第二に、これまでは領置品として倉庫に預けられていた季節外の衣類や未読等の書籍類について、以後は、近々房内に配付される収納バッグ(六〇リットル容量)と既にある衣類カゴと収納棚とに収まる分量の書籍類・衣類・私物しか所有できないこととされます。獄外に宅下げ・差し入れ等を引き受けてくれる肉親・知人等がいない未決囚は、日常生活にかなり困ることになります。
第三に、面会時間が未決囚は七分間、受刑者は八分間とされてしまいました。これまでは一五分間ほど、それに事前に「延長配慮願い」を出しておけば最大三〇分くらいは面会できていたのです。面会に来る人は平日に往復だけで半日から丸一日をかけざるを得ません。それで七分間しか面会できないというのは、世界にもそう類のない悪条件です。
以上のような改悪は、既に昨年から受刑者に対して実施されていたことです。それが今、未決囚にも適用され始めたということになります。
改善面として、これまでは週に二〜三回だった運動所行きが、平日はほぼ連日出られることになったのと、官給の電気かみそりでのひげそりが週二回だったのが三回に増えた、といったことがあげられますが、何といっても面会・発信・領置での改悪がひどすぎるので、ありがたさがありません。
当局側は、新法実施により受刑者の通信・面会対象者が拡大され、被収容者数が増加する一方で職務が増え、それに見合う予算の増額・人員の増員もないといったことを理由としてあげるかも知れませんが、そうなると、予算などの手配抜きに「監獄法改正」が行われたことになります。そんなあり方は「失政」に他ならない、ということです。
本来は、名古屋刑務所での囚人虐待・虐殺を機に、人権擁護の見地から旧「監獄法」の改正が進められていたはずなのに、現場では刑務官僚の手抜き、仕事減らしの合理化の方途に新法が利用されてしまった結果になっているのです。まさに「官僚主権国家」。官僚たちの「千年王国幻想」による年金実務でのサボり、官製談合・天下り・裏金・横領・特権拡大等々のやりたい放題のあり方に、来る参院選でひと泡、ふた泡喰わせてやりたいところです。(二〇〇七年七月六日)
看守に定期的な精神科診断を!●府中刑・川岸哲也
私は府中刑務所にて受刑生活を送っておりますが、異常な看守を見受けるのです。
まず受刑者に投薬を終えてから、独り言を舎房前で言っている看守、一つ一つの事が終わると、指をパチンと必ずならす看守。ヘスコット・ペック氏の『虚偽と邪悪の心理学』という本によると、これらは儀式的行為を繰り返す「強迫神経症」という病気だとのこと。
受刑者の管理・処遇をする看守が、心を病んでいたら、正しい施設運営が出来ない!壊れた機械からは、良い製品は出来ないのと同じで、更生させる事は無理でしょう。
私は今回で三度目の服役で、多くの看守を見てきて、改めて全国の刑務官に対して定期的な精神科医の診断を義務付けるべきだと感じています。
「確かな野党」になれなかった共産党●愛知・藤原欽也
周知の通り、参院選では安倍自民党が大敗した。この結果を我々の側が喜んで良いのかどうなのかは正直、分からない。
選挙戦を通じて、タカ派の安倍首相に年金といった生活に直結する問題こそが真の争点であることを認めさせたのは大きな成果である。
また下関市が選挙区である安倍首相が、排外主義的タカ派路線を続けられるであろうか。関釜フェリーの出発地で、アジア蔑視の主張は合わない。拉致事件の解決のためには韓国、中国との連携が欠かせないはずだ。
今、民主党大勝で、まだ発足一年未満の安倍政権を交替させると守旧派的な森政権の後に新自由主義の小泉政権が登場して、この国を目茶苦茶にしたのと同じ結果になるのではないか。タカ派の人物は逆にタカ派の政策はやりにくいからだ。
本来、政権交替というのは自民党と共産党が互いにやるものであろう。その意味では共産党の惨敗こそが問題である。確かな政党、でさえ危うくなったではないか。