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更新日:2007/08/24(金)

[社会] 柏崎原発事故/チェルノブイリ被害を覚悟

原発に「絶対的安全」はありえない

原発敷地内からもうもうと上がる黒煙。三号機のタービン建屋外に設置してある変圧器は、初期消火活動が行われないまま一時間半燃え続け、その映像がくり返しテレビで流された。震度六強という大きな揺れのショックが収まりきらないうちに、被災住人らを襲ったもう一つの衝撃。それは、原子炉が大爆発したチェルノブイリ原発事故を連想させる映像だった。その後放射性物質を含む水漏れも発表されたが、東電は「事故は軽微」で「環境や人体への影響はない」としている。

あらためて原発の安全性に赤信号が灯った。未だ被害の全容は明らかになっていないが、京都大学原子炉実験所助教で原子力工学を専門とする今中哲二さんに、現時点での被害の程度、考えられる炉心内部の損傷などを聞いた。(編集部・山田)

原子炉本体の損傷

中越沖地震による原発被害・故障については、想定を超える地震に見舞われながらも炉心溶融などの大事に至らず、運転を停止できたという意味で、とても幸運だったと言わなければなりません。

ただし、あれだけの揺れにあったのですから、炉心を格納している原子炉本体が損傷を受けていないはずはありません。

原子炉圧力容器の中を開けてみないことには何とも言えませんが、圧力容器のふたを釣り上げるクレーンが壊れているので、炉が開けられ、被害の全容が判明するには、一年以上かかるでしょう。

現時点で推測できるのは、再循環ポンプの損傷です。柏崎原発の再循環ポンプとその配管は、ABWR(改良型沸騰水型原子炉)に改良されて、重いインターナルポンプが原子炉圧力容器に、何の支えもなくぶら下がっているのです(図参照)。強い揺れのために、インターナルポンプ溶接部に相当な力が加わり、壊れている可能性が高いでしょう。損傷がひどければ、炉心が使用不能になるかもしれません。また冷却水が漏れている可能性もあります。

次にヨウ素が排気筒から放出されていますから、燃料系の事故が起こったことは確実です。タービン軸封の排気系を通って排気筒へ漏洩したことになっていますが、詳しい原因・経路は明らかにされねばなりません。(京大原子炉実験所助教)

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