更新日:2007/08/24(金)
[社会] 選挙権を取り戻す釜ヶ崎労働者の闘い
──阪口エキン
「個人の尊厳」を取り戻す
「投票に関係のないヤツは出て行け、コラ!」─七月二九日の参院選投票日。釜ヶ崎内の投票所である萩之茶屋小学校の門前で、西成区役所から動員された職員がピケを張っていた。その数はざっと二〇名。最前列の大阪市民局課長代理・梅田は、投票に来た労働者への暴言に止まらず、胸をこづいたり、足を引っかけたりする始末。
投票を呼びかけるべき選管職員が、ピケを張って「出て行け」だの「帰れ」だの暴言を吐くとは何事なのか。大阪市側の過剰反応は、統一地方選をめぐる釜ヶ崎労働者二〇八八名の住民票消除問題を引きずったものだ。
「釜ヶ崎労働者に選挙なんて関係ない」という差別的な態度が見え見えだった。投票所内に市職員と同じ服装をさせた民間警備員十名に加え十数名の私服警官と公安、投票所の外には、三〇人ほどの警官隊が待機していた。
この間、私たち「なめ憲勝手連」(なめるな国民!守ろう憲法!護憲候補に勝手に連帯する会)は、住民票を消された人たちだけでなく、長いこと選挙に行っていなかった人も含め、「選挙権は私たちの権利。投票できないのはおかしい。みんなで一緒に選挙に行こう!」と呼びかけてきた。
それに応えて「選挙に行ってみるわ」「解放会館に住民票置いていたけど、行けるのか?」など参院選に積極的に行こうとする人が多かった。
萩之茶屋投票所は、朝から盛り上がっていた。夕方、釜ヶ崎の中をリヤカーで回って情宣をしたが、「今回の選挙は行かなアカン」と多くの労働者が応えてくれた。夜六時、三角公園に集合し、リヤカーを先頭に「わっしょい!」と、にぎやかに投票所へ向った。
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