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更新日:2007/08/22(水)

[海外] パレスチナ/アッバス政権の傀儡化を目指すイスラエル
──ラン・ハコーヘン(6/17『カウンターパンチ』より)

パレスチナ民衆に無益なイスラエルの「贈り物」

ブッシュ米大統領がロードマップを打ち出し、「二〇〇五年までにパレスチナ国家を作る」と発表してから五年。それについてイスラエル人は議論に興じている。二民族三国家を軸に議論が展開されている。つまり、ハマスのガザ掌握を利用して、ガザと西岸地区を分断して二国家と扱うべきか、あくまで両地区を一体として一国家として扱うべきかという議論である。大雑把に言えば、右派は分裂支配がやり易い前者、左派はオスローの名残りと、「敵は二つより一つの方がよい」という理由で後者を支持。

ひどい議論である。そもそも、ガザと西岸地区を長年分離し、パレスチナ議会をビデオを使わなければならないほどの状態に追いやったのはイスラエルである。それよりもっとひどいのは、イスラエルがパレスチナ国家の存在を事実上不可能な状態にしているにもかかわらず、あたかも存在できるかのように議論している点である。

ガザ回廊は独立国家というより刑務所である。密閉された小さな檻に一三〇万人が閉じ込められ、空港も港もなく、国境、海域、空域の支配権もなく、水、食糧、電気、ガソリン、医療器具はいうまでもなく、人口データーベースすらイスラエルの管轄下にある。西岸地区も、最近国連が作った地図を見れば明らかなように、国家樹立が不可能な状況である。狭い土地が粉々に分断され、入植地、分離壁、道路封鎖、チェックポイントで仕切られ、一つ一つ小さな「人間用鳥かご」にされている。

米国をいつも後ろ盾にしているイスラエルは、パレスチナ内部紛争を利用して、相変わらず殺害と破壊を繰り返しながら、急に和平派を気取りだした。

突然、パレスチナのアッバス大統領は、「頼りない敵」から「貴重な友人」となった。パレスチナ・ボイコットを解き、凍結していたパレスチナの税金をアッバスに引き渡すことになり、アッバスを首脳会談に招いた。

何故か?彼がガザをハマスに取られたという「功績」のためである。

「ファタハ敗北は予想外だった」といわれる。イスラエルと米国はアッバスを援助したが、援助が少なすぎたか時機遅れだったのだろう。いずれにせよ、ついにイスラエルはパレスチナ穏健派と仲直りし、「非イスラム主義世俗派民族主義運動を救うべきだ」と、我々イスラエル国民に信じ込ませようとしている。

別な解釈もある。一月選挙の結果から見ても、ガザにおけるファタハの敗北は予見できたし、米国もイスラエルもアッバスを助けなかった。ハマス支配のガザの方が「テロリストの巣」として宣伝し易いし、イスラエルはガザに対する民政上の責任を放棄でき、ファシスト大臣リーバーマンや何人かの米国人が言っているように、自滅に任せることができる。

恐らくガザでの敗北に一番ショックを受けたのは当事者のファタハであろう。選挙で負け、軍事闘争にも負けたファタハ幹部は、ほぼ一五年間の腐敗堕落のツケを人民から突きつけられた形となった。人民が壁やチェックポイントや失業や貧困で窒息寸前になっている時、一部PLO幹部はイスラエル政府発行のVIPカードの恩恵で高級車で自由に往来していたのだ。人民の敵意に直面したアッバスと仲間幹部は怯えている。西岸地区における彼らの人気も高くない。(翻訳:脇浜義明)

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