[政治] 郵政民営化・市町村合併を山村の目から検証する
──大今歩
郵政民営化の影響
この連載で、私は一昨年の衆議院議員選挙での自民党の圧勝の結果成立した郵政民営化法が郵便事業のサービス低下を招いて、へき地の過疎化に拍車をかけること(二〇〇五・一二・一五号)を指摘した。また、市町村合併(昨年一月私の住む大江町は、京都府福知山市に吸収合併された)は住民が自主的に進めたものでなく、政府が強制したものであり、行政サービスの低下と住民の負担増を招き、過疎地域の存立を揺るがしかねないこと(〇六・二・五号)を指摘してきた。
二つのレポートから一年半の歳月が流れたが、郵政民営化法や市町村合併が今日に至るまで、私の住む山村・北原にどのような影響をもたらしてきたか、検証したい。
郵政民営化に向けて、郵政公社は全国的に郵便集配局を大幅に減らす方針を打ち出した。
本年三月、大江町の本局も一五名いた局員が二名に減らされ、集配業務を停止した。それに伴って、私の住む北原という山村の配送を担当する局員も、以前は大江町の本局から半径一〇`の範囲で集配していたのに、福知山市の中央郵便局から九〇tのスクーターに乗って配送するようになった。
私の家に郵便物を配達してくれる局員は、皆一様に毎日九〇qを超える距離(福知山市から京都市内に至る距離にあたる)を走っており、仕事がきつくなったことを嘆いている。大変な長距離を、雨の日も風の日も小さなスクーターで配達させることは、局員に対する著しい労働強化に他ならない。にもかかわらず、集配局の統合の不当性や局員に対する人権侵害について、郵政公社の労働組合が問題にしているとはあまり聞かない。
しかし、郵便局員に一方的にしわ寄せする状態が長期間にわたって続くとは考えにくいから、今後、配達に不便な所は毎日の配達を隔日にしたり、各戸への配達をやめて集落の一個所にまとめて配達するなど、サービスが低下することが予想される。