[海外] パレスチナ/自治政府の「暴力転覆」扇動したイスラエル・欧米連合
──ナッサル・イブラヒム・セルジオ・ヤハニ(AIC)
イスラエルの占領と抑圧を放置する欧米諸国
二〇〇六年一一月以降、国際社会とイスラエルの巨大な圧力によって、パレスチナ社会は内戦寸前にまで追い詰められた。この経済的・政治的圧力は、パレスチナ社会分断に成功し、流血の内部抗争を招いた。そしてとうとう「国家なき二つの政府」を生み出すにいたった。
六月一七日、マハムード・アッバス議長は新自治政府を作った。サラム・ファイヤド財務相を首相に指名してできた新自治政府は、民主主義選挙で選出されたパレスチナ評議会(議会)の承認も支持も得ていないが、イスラエル、米国、ヨーロッパ連合から全面的支持を得ている。親米アラブ諸国もアッバス支持に回るだろう。
これら外国勢力は、〇六年一月にハマスが選挙に勝利して政権を握って以来、パレスチナ人民に課していたボイコット・制裁、援助停止措置を、新政府に対しては解除すると言っている。
この横車を押すような新自治政府樹立は、一月選挙の結果、イスラエルと米国が中心となってパレスチナに対してとってきた厳しい非人道的な政策の直接的結果である。
米国やヨーロッパ連合は、パレスチナの民主主義的選挙の結果を拒否する、という反民主主義的決定を行い、自治政府への援助を全面的に停止し、自治政府を国際社会から締め出した。
さらに、米国と結びついた一部のファタハ勢力は、米国が選挙結果を暴力で覆すことを望んでおり、それを支援することを知って、行動に出た。米国とヨーロッパ連合は、イスラエルに追従し、民主主義選挙で成立したパレスチナ自治政府を暴力で転覆することを扇動したことで、文明国家としての威信と倫理を失くしてしまった。
彼らはファイヤド新自治政府を支援する条件として、反民主主義的成立を理由に新政府に反対するパレスチナ人、イスラエルの占領に抵抗するパレスチナ人を弾圧することをあげている。
事実、〇六年一一月以降、ガザでは米国から資金援助と軍事訓練を受けたファタハが、選挙で選ばれた政府を暴力で倒そうとして、パレスチナ社会の内戦を招いた。
しかし彼らの試みは失敗し、ガザでの米国の企みが崩壊した。ファタハのガザでの軍事攻撃の失敗の結果として、西岸地区でファイヤド内閣が作られたのである。