[コラム] 五味正彦(有機本業)/国内フェアトレードグッズの流通について考える
本紙五月一五日号で「国内フェアトレード推進」の考え方と実践例を書いた。言い方を変えると、国内格差を減らすための商取引・物づくりを応援しようという考え方のすすめだ。
フェアトレードグッズだから、当然手作り品、少量生産品が多くなる。コンビニ・スーパーに並ぶ商品とは、質・量共にちょっと違う。
販売流通のオルタナティブ
では、たとえば、今私たち有機本業グループが宮崎・日向の地で商品化のために生産した純天然樟脳「日向のかおり樟しょうのう」のことを考えてみよう。当初月生産量は八〇c一パックで、約千パック。
どこで売ってもらうのか、商品見本ができたばかりで現在交渉中で決まったわけではないが、関西だと「関西よつ葉」のカタログで紹介してもらうとか、他にもいろいろな安全食品の会員宅配グループへの取り扱いをお願いするつもりだ。いくつかの生協にも声をかけたい。東京・首都圏でも、大地を守る会やいくつかの生協に取り扱いをお願いする。
こういう生協(よくある生協・コープこうべ型の安売りスーパーと変わりない生協とは別の理念でやってる生協)や安全な食品の宅配グループ等には共通の特徴がある。
◇環境重視派である。たとえば合成洗剤追放・石けん利用をはっきりうたっている会が多い。
◇社会運動派である。たとえば原発反対を会の活動の一つにしている会が多い。
◇無農薬(省農薬)・無添加派である。野菜や加工食品の基準として「○×は使用していません」と強調するケースが多い。
◇無店舗(又は小店舗)で会員制の注文宅配が多い。
注文・宅配制度のよい点は、システムを簡単に説明すると、@まず会員(生協だと組合員)になる。入会金・会費が必要だが、無料サービスの会もある。A毎週同じ曜日に(毎月の会もあるが)紙のカタログが届く。それを見て注文用紙に記入して翌週提出する。この注文用紙の回収と一緒に前の週の注文品が届き、次の週のカタログも同封されている。というサイクルのくり返しである。B同じ会員への商品の販売なので、しばらくやると会の方では販売予想数がわかってくる。Cよって生産者の方では、無駄のない適量生産ができる。D会の方でも適切な価格での安定販売がしやすい。(品切れなどが出にくい)E少量生産品の販売ルートとして向いているといいことづくめのようではある
が、問題点がないわけではない。それは、商品を先に見て手にとって選べないことだ。では販売・流通のオルタナティブを保ちつつ、この欠点を乗り越えるには?次回考えてみたい。