[政治] 放射性廃棄物処分場・田嶋前町長が語る過疎の現実
「原発危険というなら、都市の使う電力がどこで作られているのか自覚せよ」
前町長は、東洋町の今をどう見ているのか?インタビューを申し込んだところ、前町長と共に原環機構に文献調査応募書を提出した桜井惇一(野根漁協組合長)宅での会見となった。
田嶋前町長は、青年時代、民青同盟員として戦後革命期をくぐり、26才で共産党公認で町議に当選。以後7期務めた後、2000年の町長選では、「懐は寂しくても、ぬくもりのある町政」を掲げ町長選で圧勝した。この人がなぜ核ゴミ処分場誘致という誘惑にはまりこんだのか?
「後悔もしていないし、間違っていたとも思わない」。今も自説を曲げない田嶋前町長は、独断専行との批判についても、詳細なスケジュール表を示して、「全議員・町幹部と共に勉強会をやってきたし、町民対象の説明会も行ってきた」「むしろ一部町議には裏切られた気分」と言う。
文献調査の期間中に時間をかけて勉強をし、誘致するかどうかは最終的に住民投票で決めればいいとの主張だ。
「利権」ついても「(私が)あちこちに土地を買っているとか、様々な噂が流された。そんな土地があるなら見せて欲しい」と怒る。前町長の応募動機が、過疎により収入が減り、さらに地方交付税が減らされて、借金は増えるばかりという町財政の立て直しにあったことは言葉どおりに受け取りたい。つまり、東洋町は、「構造改革」の名で進められてきた新自由主義的改革=地方切り捨て・格差拡大に喘ぐ無数の自治体の姿そのものなのだ。
原水協の東洋町代表も務めたという田嶋氏は、「核保有は全廃すべき」とした上で、「原発55基が電力需要の3割以上を担っている現実がある以上、危険だというのなら、特に都市住民はこの電力がどこで作られているのか自覚すべきじゃないでしょうか」とも語る。田嶋前町長も、新自由主義改革と原子力政策の犠牲者といえるだろう。