[海外] 欧州/野宿者問題や拉致問題から見えた日本の国際感覚
──釜ヶ崎パトロールの会 田川弘
「G8対抗ヨーロッパ行進」 反グローバリゼーション通じた「持たざる者」の連帯行動
五月一九日から六月六日にかけて、フランスのNO─VOXの呼びかけで、フランス〜ベルギー〜ドイツのロストックを結ぶG8対抗ヨーロッパ行進に参加した。フランスをはじめ、ドイツやオランダ・イギリスの失業者グループや移民労働者の組織、チュニジアの仲間や南米のブラジルからは居住権を求めるグループ、労働組合のCNT、バスク独立を闘うETA、ロシアやポーランドの仲間たちがロストックを目指した。参加者は五〇名。
この約一〇年間、サミットやWTO等の会合の際、猛烈な反対闘争がおこなわれている。アジア・アフリカからは債務帳消しの要求を、労働組合は生活保障を、失業者は福祉政策改悪反対を訴える。そして会場周辺は、文字通りNO─VOX=声なき者の歯ぎしりするような怒りにあふれかえっている。『なぜ!』と問いかけながら。
一体、サミットとは何か。ベルギーのシャルルロワ(閉山した炭坑の街)でのシンポジウムで、発言者のパスカルさんはこう言った。「G8というのは国連の機関とは違う。法的にもハッキリしない。非常に自由主義的な組織。世界的に影響を与える組織。しかも民衆に意見を求めることなく決めることができる」。
外務省をみると、サミットが七〇年代の準備段階から一貫して民衆支配の議論ばかりをしているかよくわかる。とりわけこの一〇年、ITシステム導入による経済の変貌は時間と空間を圧縮し、グローバリゼーションだの二〇%の勝ち組と八〇%の負け組だの格差社会だのと物騒な言葉をばらまいた。
当然ながらそんなことが許されるわけがなく、人民は『世界はお前たちだけのものではないぞ!』『富の再分配を要求する!』等をスローガンに、ことあるごとにヤツらにたたきつける。
五月一九日、私たち釜ヶ崎パトロールの会の二名はパリに着いた。この日から六月六日のロストックでのオルタナティブサミットまでの約三週間、ヨーロッパ各地をまわって「G8反対」を訴えた。
五月一九日 地方都市からの行進がパリに到着。スクウォットした古い銀行を案内してもらった。
二〇日 NO─VOXの仲間に市内を案内してもらう。
二一日 宿の近くに寄せ場があるというので、早朝調査に行く。午後、ジュジュ大学でケンローチの講演と映画上映会があることが分かったので(無料!)、押しかける。
二二日 母子家庭に住居を要求する押しかけに参加。移民労働者の女性たちが、各々子どもを背負い、乳母車に乗せて、手をつないで。役人は交渉に応じると回答。この行動の後、ベルギーとの国境にあるフランス北部のリールに向かう(フランスで一番失業率の高い地域)。ここでヨーロッパ行進の仲間たちと合流した。