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更新日:2007/07/18(水)

[海外] 米国/「反戦の母」シンディ・シーハン活動停止宣言の真相
──米国イリノイ州在住 木由左史

二大政党乗り越える新たな反戦運動を提起

「いつの日か、別の合衆国大統領がシンディ・シーハンを迎えて言うだろう。『イラク戦争を止めさせた女性というのは、あなたでしたか!』」(NYデイリー・ニュース/二〇〇五年八月一六日)

一時はこうまで評され、《反戦の母》として運動の「顔」であったシンディーさんが、五月二八日のメモリアル・デー(戦没者追悼記念日)に、ネットで「反戦運動から身を引く」と宣言した。何が起きたのか。

シーハンさんの反戦活動停止宣言について、主要メディアは、「平和運動の顔としてのシーハン退場」(シカゴ・トリビューン)といった見出しで報じた。

しかし、これらの記事には大事なことが二つ抜けている。一つは、大統領私邸前の野営の「闘争歴」を紹介していながら、なぜ大統領に面会を求めて行動を起こしたのか、その肝心の理由が書かれていない。

二つ目。シーハンさんは五月二六日に、「何故、民主党から離れるのか」と題する民主党への絶縁状を書いた。これはネット上で公開されているが(http://www.informationclearingh-ouse.info/article-17784.htm)、どのメディアもこれに一切言及していない。メディアは、反戦運動家の「顔」(メッセンジャー)は報じているが、本人の真意(メッセージ)は隠されたままだ。

シーハンさんの本意伝えないメディア

先ず、記事を拾ってみる。

「民主党がイラク戦費法案から撤退期限を外したことに一因があるようだ」(NYタイムズ)。「金銭面や精神面で消耗した、民主党がイラク戦争に終止符を打てなかった点に失望した。個人のエゴが平和や人命より優先されることが多い反戦活動に疲れた、と語った」「自分が国に黙従し息子は国への忠誠の代償を払った」(CNN)

ここにあるのは、民主党への失望、反戦運動の諸グループへの不満、、そして母親としての自責の念といった、反戦活動に疲れた一人の活動家の月並みな心象風景だ。しかし、それだけであろうか。

シーハンさんの原文を読むと、また違った位相で母親の本意が見えてくる。「今朝、私が到達した最も手厳しい結論は、ケーシーは全く無駄に死んだということだ。彼の血は彼を愛する家族から遠く離れた国で流され、私たちが考えることをコントロールさえしている戦争マシーンによって動かされ、またその恩を受けている彼自身の国によって殺された。

息子が死んで以来、その犠牲を意味のあるものにしようと試みてきた。今後数ヵ月間の(イラクでの)死者数よりも、次のアメリカン・アイドル≠ェ誰になるかに関心を持っているそんな国のためにケーシーは、自己を犠牲にした。一方、民主党と共和党は、政治で人命をもてあそんでいる。

長い間、このシステムを私が受け入れていたこと、そして、ケーシーはその忠誠のために犠牲になったこと、このことを認識することはとても苦痛だ」(太字は筆者)

「私たちの思考が、現行システムによって管理されている」という指摘である。では、そのシステムとは何か。

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