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更新日:2007/06/18(月)

[コラム] きくちゆみ/沖縄辺野古より「暴力をふるうものが一番弱い」

5/16のクーデター

私は現在、非暴力であらゆる争いごとや問題を解決する方法を提案する政府機関として「平和省」を日本に設立することをめざす「平和省プロジェクトJUMP」の代表と、「平和省」を世界全ての国に創ることを目指す「平和省グローバルアライアンス」の運営委員をしている。

私の元に毎日届く辺野古からの報告に、驚き、怒り、悲しむだけで何もできないでいる。そして無力感に襲われる。そんな私にできることは、情報を共有すること。ひとりでも多くの人に伝えること。

辺野古の現地から送られてきた言葉を何度も読み返した。「力でねじ伏せることができると思っている人たちは、非暴力で立ち向かって来る一般市民が心底恐いのだと思います」「平和を創るために体を張っている仲間たちは『暴力を振るう者が一番弱い』ということを知っているのです」

五月一八日、日本でクーデターが起こった。しかし、この国の大半の人はそのことに気づいていない。それがわかるような報道がされているのは沖縄のメディアだけで、本土のメディアは極めて「穏やか」だ。毎日新聞では、今回の沖縄への海上自衛隊投入は「防衛省の部内業務支援」とだけ書かれている。自衛隊が在沖米軍基地建設に協力するのは一九七二年に沖縄が本土復帰して以来初めての大事件なのに、扱いは小さい。

しかし、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が、米軍基地建設の調査のために辺野古に投入された意味は何か。調査のためと言いながら、実際にやっていることは「武力による威圧、あるいは威嚇」ではないのか。辺野古の海を守るために体一つで座り込みを続け、海上に出てカヌーで阻止行動をする人々の小ささと、ぶんごの巨大さが、あまりにも不釣り合いで異様だ。

日本国憲法には「武力による威嚇は永久にこれを放棄する」と書かれているが、まさに自国民に対してそれを行っているのだ。

「若い人たち、ぜひ、辺野古に行ってください」「退職して時間のある人に、ぜひ行ってください」とメールがまわってくる。私は幼い子どもたちを置いて辺野古に行くわけにはいかない。田植えの準備で忙しいときに、自分の暮らしをほったらかして、辺野古へ飛んではいけない。 

でも、本当にそれでいいのか?マーティン・ニーメラー牧師が言ったじゃないか、最初は自分と関係ないと思って黙っていた。いよいよ自分が弾圧された時に、声をあげようとしたら、すでに遅かった、と。

いま辺野古で起きていることは、改憲を先取りしたものだ。そして、私たち日本人のこれからの運命でもある・・・もし、このまま何もしないでいるとしたら。

辺野古では「いのちの海を殺人基地にしない」と決意したおじいたち、おばあたちが中心になって、一一三五日も座り込んで米軍基地建設を阻止してきた。私も何度か辺野古に行っているが、その海は沖縄本土の中でもとびぬけて美しい。珊瑚も生きているし、ジュゴンも生息している。なぜ、ここに米軍基地が建設されなくてはいけないのか?普天間で危険なものは辺野古に移したって危険ではないのか?

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