更新日:2007/05/16(水)
[海外] パレスチナ/雌豹(ライス国務長官)が子猫に
ウリ・アブネリ
イスラエルの拒否でもたつく米政権の方向転換
コンドリーサ・ライスは、イスラエル首相オルメルトに会い、ブッシュが中東再編を望んでいるので、その線で協力するよう伝えた。オルメルトは拒否、ライスは、雌豹が子猫に変じて、帰国した。
事の初めは、ブッシュがイランとの戦争準備のため、イラクのゴタゴタを早く終わらせ、親米アラブ政権を中心にアラブ世界をまとめ、そのためにパレスチナ問題を何らかの形で決着をつけたいと思ったことだ。
滑り出しはうまくいった。アラブ政権の指導者がリヤド・サミットに集まった。
サウジの王はシリアのアサドと和解、アッバスはハマスのハニヤ首相を連れてきた。シリアが後見人であるレバノンのラフード大統領とヒズボラの指導者も同席した。
集まった統一アラブは、サウジのパレスチナ和平案 ( イスラエルが一九六七年六月以前の国境線内へ後退すれば、アラブ世界はイスラエル国を承認し、和平と関係正常化をする )を全アラブの和平提案とすることに同意した。この和平案には、一応リップサービスとして、難民問題の「適切な解決」も謳っているが、「イスラエルの同意を得て」という但し書きをはっきりつけている。
米国の後押しで成立したこの和平案は、イスラエルにとって罠である。何とか回避しようと知恵を絞っている。「イスラエルが認めない難民に関する国連決議を含んでいるから、受け入れることはできない」などと苦しい反論をしている。そういう政府の態度について、多分政府の圧力もあって、イスラエルのメディアは何も言わない。
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