更新日:2007/05/15(火)
[社会] 競争激化の介護業界
遥矢当
わが身に降りかかったリストラ
あれ?名前が無いな」。私は、目の前にある新しい社内の組織図に思わず目を奪われた。あるべきはずの自分の名前がないのだ。私はどうやら会社から必要とされない人となったようだ。
この春(二〇〇七年度)に、社内の人事を見直す話は以前から聞いていた。クビの原因として考えられる理由は、二つだ。一つは、上層部に私が嫌われたこと。もう一つは、経営状況が予想以上に悪化していることである。
私の会社は現在、東京都目黒区に富裕層を対象とした有料老人ホームを建設中だが、その進捗が思わしくなく、経営的に圧迫し始めていた。
そもそも、介護業界では、人事異動が非常に激しい。けれど、たった一年で組織を見直さなければいけないほど会社の経営状況が悪化しているとすれば、社員の士気が落ちるだろうし、サービスを利用しようと考えている高齢者とその家族に不安を与えるだけだろう。
私の会社もご他分にもれず、介護スタッフが絶対的に不足している。だから、毎週のように新聞に折り込みチラシの求人広告を打ち、インターネットの求人サイトに数十万円の広告料を払って募集している。あげく、人材派遣会社から派遣スタッフをかき集め、人材紹介会社からは百万円単位の紹介手数料を支払い、幹部社員を雇い入れていた。それでも、必要な人材かどうかとは別に、社長の意向に沿わない人物は退社を余儀なくされているのが現状だった。実は、こうしたリストラの仕事が、ここ数ヶ月の私の仕事であった。
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