[情報] 性的マイノリティ差別NO!
Kさん解雇裁判を支える会
性というものは、はっきりしているものではなく、途中で変わることもあるし中間的な性もある。自分も百人百様の性のひとりであるにもかかわらず、世間的な先入観を受け容れてしまっていることを自覚することで変化がはじまる」――。二月二四日、「性的マイノリティ差別NO!Kさん解雇裁判を支える会」が大阪で開催され、冒頭でイダヒロユキさん(立命館大学)が、『ジェンダーセンシティブと労働権』と題する講演で参加者に語りかけた。
性同一性障害(以下、GID)をもつKさんは、野宿生活者巡回相談事業を大阪市から受託して実施している社会福祉法人・大阪自彊館で巡回相談員として雇用されていた。トイレを使わせない、仕事を取り上げるなどの嫌がらせを受け続けていたKさんは、自彊館に対し、セクシャルマイノリティについての研修会を開いてほしいと幾度も要望していた。そんななか、一年前に突然雇い止め通告を受けたKさん。自彊館は「成績が悪いから」と居直っているが、Kさんが性同一性障害であることを理由にしたものだった。泣き寝入りはしたくないと思ったKさんは、ユニオンぼちぼちに加入し、雇い止めを撤回させるため、自彊館と団体交渉を四回重ねた。
しかし、交渉は決裂。昨年の一〇月一一日に、雇い止めの無効を求める裁判とあわせて、損害賠償請求裁判を起こした。
この集会は、そんなKさんの闘争を支援するため、ユニオンぼちぼちの主催で開催された。集会にはユニオンの関係者ばかりでなく、性的マイノリティの当事者など、さまざまな人々が駆けつけた。
「性差別を減らすためには、既成の分類にあてはまらない人の存在を認め、さらには働き方そのものを変えていくことが必要です」と語るイダさんは、「マイノリティを排除する自らの行いの問題性を、自彊館に気づかせることに意義がある」と今回の裁判について語った。
裁判を支援する永嶋里枝弁護士も「野宿者支援に携わる社会福祉法人として、性的マイノリティ差別にどう向き合うのか、自彊館の姿勢が根本的に問われている」と強調した。
「仕事の面でも日陰に追いやられている性的マイノリティが、堂々と気持ちよく仕事して暮らしていける路をひらくためにも、この裁判をがんばりたい」(Kさん)。
GID当事者の起こした裁判はわずか二例目で、驚くほど少ない。当事者が声を上げることすらできない社会状況があり、自彊館もその辺りを見越していたのだろう。
集会にはヨシノユギさんもかけつけ、連帯のあいさつをした。ヨシノさんは「同じGIDだからといって連帯のアピールをするのではない」という。「GIDの当事者からもバッシングを受ける可能性がある」という危惧もあらわにするヨシノさん。「無闇に裁判なんかするな。変な判例が出たらたまらない」「医療がストップしたらどうするんだ」――。だからこそヨシノさんは、金子光晴の言葉「奴隷根性に納まらない」を引きながら、「不義・不正を許さず呼びかけを続けることが重要」と力を込め、連帯の意義を語った。