更新日:2007/03/03(土)
[情報] 那覇新都心を巡る断章 土井智義
基地なき未来を創造するために
那覇市の北西部、二本の幹線道路(五八号線と三三〇号線)に挟まれた一角に那覇新都心と呼ばれる広大な街がある。ほんの五年ほど前までは、数本の道路とその沿線に点在する学校やショッピングセンター以外には何もなかった場所が、今では高層マンションやホテル、市役所支庁やハローワークといった官庁、あるいは大型商業施設などが立ち並ぶ一大「都心」へと急変貌をとげたのである。
この地域は二〇年前まで「牧港ハウジングエリア」(住民の呼び名は「家族部隊」)という米軍施設であり、一九八七年に全面返還され一〇年ほど休止期間をおいてから開発が進められるのだが、昨年日米両政府によって合意された米軍再編における基地返還後の跡地利用をめぐる皮算用のなか、沖縄では跡地開発の「成功例」として北谷町の美浜地区とならび那覇新都心が注目を集めている。いわば基地なきあとの、「自立」に向かう都市像として新都心が浮かび上がっているのだ。
もちろん米軍再編による「基地返還」とは、軍事力削減につながるものでは全くなく、米軍にとって有用性が高まるよう「沖縄の負担軽減」や「移設」といったフレーズでごまかしながら辺野古やグアムに基地を新設する過程にほかならない。こうした日米両政府の嘘を批判することも不可欠だが、ここでは基地返還後に実現されうる空間がいかなるものかを考えてみたい。基地から解放された場所は、はたして「平和」で「自立」した空間へと生成しうるのだろうか。那覇新都心を例として考察してみたい。
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