[コラム] PKO活動と性犯罪/山村千恵子
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日本版オーマイニュースに、国際版からジョアン・M・ドーソン記者の「国連平和維持活動員の性的違法行為」という記事が翻訳掲載された。
「一九九〇年代以降、国連維持活動員の性犯罪が問題になっていたが、国連は当時、まるで当然のことが起きたかのように扱った」「米『ワシントン・ポスト』紙によると、カンボジアにいた国連平和維持活動員たちが少女たちに性的暴行を加えたのが初めてのケースだった」と記者はいう。
その元記事である『ワシントン・ポスト』紙には、「当時の最高責任者であった明石康氏は『男はやっぱり男』だと言って、その申し立てを重要視しなかった」と、明石氏の名前を出して非難している。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナでは、売春宿を訪れた人の三〇パーセントが、国連あるいは北大西洋条約機構(NATO)のスタッフだった。実際、国連はこうした場所で売春宿を運営しており、人身売買をしていた。
アフリカ西部のリベリア共和国では、国連平和維持活動員たちが、まだ一二歳の子を含む少女たちと性行為を行った。代償は、一〇ドル(約一二〇〇円)か、あるいは食物だった。また多くの国連職員は、国連からあてがわれた乗り物を使って売春宿を訪れた。
難民の支援団体「レフュジー・インターナショナル」によると、コンゴでは児童ポルノをあっ旋するグループの存在やセックス・ショー、赤ん坊のレイプなど、性的搾取の状況が起きたということだ。
女性の人権擁護を支援する「ピースウィメン」によると、東ティモールでは、平和維持活動員たちを父親とする、少なくとも二〇人の赤ん坊が置き去りにされた。児童に対する性的暴行、売春の強要もあったとされている。
記者は、このような犯罪を当然視したことによって、性的暴力行為が次々起こり、それに対して「何も言わない文化」が発達していったと訴えている。
この記事に対して「この記事にひと言」欄にはすぐに「ブログに載せたり、友人に知らせたり、できることからはじめます」というコメントがついた。しかし、次に来たのは「個人差はあるとはいえ、性欲は食欲や睡眠欲に並ぶ欲求です。『寝るな』『食べるな』と言うことは簡単でも、それを実行することがとても難しいのと同様、性欲も『我慢しろ』と言えば治る問題でもありません」というコメントだった。
たった一人ではあるが、この人は他の人の反論にもめげず「収入が無くなりどうしようもなくなって強盗をした人と、働くのが嫌で楽に腹を満たそうと考えて強盗をした人とではまるで別物です。後者は厳罰に処し、その精神を根本から叩きなおす必要はありますが、前者はその『無収入』という状況を変えない限りは永遠に犯罪を起こし続けます」というように、言葉を変えつつ最後までこの主張を執拗に繰り返した。
一昔前には、この考えが一般的だった。電車で痴漢に会うのは当たり前、強姦されるのは、お前に隙があるからだ。しかし他の先進国に遅れながらも、日本国内の常識は変わりつつある。
ところが「我々が紛争を終わらせ平和を与えてやっている」と思い上がった国連平和維持活動員は、依然変わらないようだ。