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更新日:2007/02/20(火)

[海外] ラテンアメリカ/二つの「自律性」/龍谷大 廣瀬純

進歩派政権と社会運動の隔たり

ラテンアメリカでは一九九〇年代末から「左派」「進歩派」とされる政権が相次いで誕生しています。これらの政権が、多かれ少なかれ、USA政府主導のネオリベラル的グローバル化を過去のものにしつつあるというのは、マス・メディアも伝えている通りです。

例えば、ブラジルのルラ政権とアルゼンチンのキルシネル政権の主導のもとに進められている「南米共同市場(MERCOSUR)」構想は、USA政府主導の「米州自由貿易圏(FTAA)」構想にはっきりと対抗する試みです。この意味で、ラ米における相次ぐ左派政権の誕生は「もうひとつのグローバル化」「反グローバル化」の流れの中にある出来事だと言えます。

「上からの」政治経済学しか解釈格子をもたないマス・メディアの報道や開発論系の学者たちの著作だけに接していると、あたかも、ラ米における諸々の社会運動も、進歩派諸政権と一つの同じ闘争を共有しているかのように思えてしまいます。これは、間違いとは言わないまでも、運動に携わるぼくたちにとってはそれほど役に立つ情報ではありません。

進歩派政権と社会運動との間にある隔たりは、例えば、「自律性」をめぐる両者の解釈の相違にあります。

進歩派諸政権が唱える「自律性」とは、近代的な主権国家と「ふつうの資本主義」の再確立、そして、それらをもとにしたラ米全体の地域統合とによって、USA政府に主導された形でのグローバル化に対抗するというものです。

これに対して、主として一九九〇年代初頭からラ米各地で見られるようになった「新たな社会運動」にとっての「自律性」とは、あくまでも、住民同士の顔が見えるような範囲での共同体ひとつひとつのそれであり、その賭け金は、代表制政治システムにも資本制経済システムにも依存しないような自律的な共同体をいかにして構築し維持するかということにあります。かつて「ネオリベラリズムの実験室」と呼ばれたラ米が今日「社会の実験室」と呼ばれるのは、この意味においてのことです。

「新たな社会運動」が、国家に中心化されえない形で、自律的な政治経済空間の構築を進めようとしているのに対して、「進歩派」は、そうした脱中心的かつ実験的な試みを、ネオリベラル的グローバル化に抗する主権国家という旗印の下に再中心化し、近代的な国民国家の再建を企てています。だからこそ、「もうひとつのグローバル化」「反グローバル化」という認識だけでは、ラ米における政権と運動との間の差異が見えてこない、あるいは、運動そのものの特異性が見えてこないのです。

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