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更新日:2007/02/20(火)

[社会] 死刑執行を糾弾する/東拘囚人 和光春生

腰の曲がった老人をくびり殺す死刑制度

本一二月二六日は、新聞を届けられるのが遅かったので、「さては、死刑執行の記事を塗りつぶしているのでは」、と危惧していました。私が拘留されている東京拘置所新棟の八階は、日本で一番、死刑確定者の人口密度が高いところです。居並ぶ六五の独居房の半数近くが、そのようなのです。

彼らは月三回、房内でビデオ映画を観ることが保障されています。電気コードが引き込まれた房があれば、確定囚の人がビデオ鑑賞中と判別できるのです。袋貼り作業を房内でやっている確定囚も一〇人ほどいます。一日六時間、昼寝なしで作業して何百円ほどの褒賞金です。

今年は法相が代わり、国会も休会中なので、「この年末は死刑執行をやられるのでは」、と心配していました。東拘では年賀状発信の締切が一二月一五日だったのですが、とても「明けましておめでとう」とか書く気になれない雰囲気でした。案の定でした。二六日の昼近くになって届けられた二五日夕刊一面に、「四人死刑執行」との見出しがありました。確定囚の人むけの新聞は塗りつぶされていたことでしょう。

修復的制度の実現を

二人は三一年前と二五年前に強盗殺人を犯して、死刑が確定するにいたったということです。この数年、確定囚が急増し、一〇〇人を超えそうになったので、あわてて処刑したようです。「一〇〇人を超えたら、死刑制度が成り立たなくなる」とか、「未執行の判決が増えるのは異常事態だ」とか言われています。それらはタテマエというものでしょう。

現実は、腰の曲がった老人をくびり殺すこととしてあります。このような刑が残存していることこそ、異常なことです。終身刑の導入とかも問われていますが、「修復的司法」という観点から死刑に替わる解決策が立てられるべきです。

「懲らしめ」や「見せしめ」としての刑罰よりも、賠償とかを含む、修復の方途が追求されないものか、とつくづく思います。懲役労働にしても「懲らしめ」のためでは、修復にも社会復帰にもつながりません。「被害」に対し、具体的に賠償するような労役の方が有益有効に思えます。現行の死刑制度も懲役制度もあまりに「無残」と言わざるを得ません。

死刑制度の廃絶を。死刑に代わる修復的制度の実現を。長勢法相は、これ以上、人を殺すな。

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