[海外] キューバ/反米三国同盟の結成〜米国を少数派に
──キューバ円卓会議共同代表 樋口篤三
チャベス対ブッシュ、ベネズエラ革命の圧勝
ベネズエラのチャベス大統領が一二月三日に三選、しかも六一%対三八%の大差で(開票率七八%)圧勝した。今回の選挙は、従来にまして米帝国の干渉は露骨で、中央情報局(CIA)ネグロポンテ長官は、この八月に「キューバとベネズエラ」対策の特別部局を新設した。手段を問わない「カストロ・チャベス打倒」の為である。
米国開発局(USAID)は、「ベネズエラ民主主義の促進」なる米帝国お得意の干渉で、〇四〜〇五年に一三二の民間団体に資金援助(もちろん多くのスパイ・工作員も)を行った。
これらの公然たる内部干渉は、中南米はもとより世界に知られたゆえに、大統領選挙はチャベス対ロサレス(米国の傀儡である財界代表のスリア州知事)ではなく、「チャベス対ブッシュ大統領の対決」と言われた。
チャベス大統領はさる九月二〇日の国連総会で、ブッシュを「自らが世界を所有しているかのようだ」と批判し、「ブッシュ=悪魔」論を連発した。そして米国のノーム・チョムスキーの近著『覇権か生存か』を紹介し、「一番に読んでもらいたいのは米国の兄弟姉妹だ」とのべ、多数の国代表から大きな拍手を受けた。
一一月一八日には中米のニカラグアで、一九八〇年代にサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)を率いたが米国に追い落とされたオルテガ元大統領が一六年ぶりに再選された。
一一月二八日は、中米エクアドルで、「反米左派」のラファエル・コレア元経済・財政相が、「バナナ王」といわれた親米右派のアルバロ・ノボアに圧勝した。
まさに将棋倒し≠ナある。中国革命の大勝(一九四八)時に当時のダレス米国務長官は、ドミノ理論をとなえて朝鮮半島に分断国家を生み、日本では官公労からスト権を奪いとって防波堤≠築いた。
コレア新大統領は「ベネズエラ・チャベス大統領を信奉し、反米と南米統合を称える」(一一月三〇日・朝日新聞)。彼はチャベスのブッシュ=悪魔$烽ノ呼応して「世界をひどく傷つけた間抜けなブッシュ氏と比べれば悪魔に失礼だ」(一一月二七日・同紙)と糾弾した。それほど米国は信頼をなくしたのである。
二〇世紀、いや人類史の巨大な革命家フィデル・カストロ(八〇才)は、キューバ革命への決起(五三年七月二六日)以来半世紀余、さすがに肉体にガタがきて、キューバ人民の記念日も欠席となった。
生あるものは必ず滅す。
だがカストロ政治とモラル、「社会主義か死か」と必ず演説で結んだその人民解放・人類解放の社会主義の思想は、彼を師と仰ぐチャベス大統領(五三才)に引き継がれ、そのチャベスを信奉するエコレア・エクアドル大統領(四三才)と、国境と民族をこえて三代にわたって波及した。
「資本主義の勝利、社会主義の敗北」と大宣伝されてからわずか十数年、なくなったはずの社会主義は、世界資本主義の総本山=アメリカ帝国の「裏庭」から不死鳥の如くよみがえり、広がり出している。
その根拠地国家・社会こそ革命キューバである。