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[政治] 沖縄知事選　沖縄社会の点検を

「移設」要求の落とし穴

候補者の公約などでは、仲井真・糸数・屋良の三氏が、それぞれ独自の主張を展開していたようにも見える。だが私には、皆が同じ陥穽にはまっているとの疑いを振り払うことができなかった。根本的な問題が不問にされているという閉塞感だ。こうした息苦しさは、例えば基地問題をめぐる主張にもある。

糸数氏は、県内のあらゆる新基地建設に反対し、普天間基地の国外移設を求めた。一方の仲井真氏は、基地問題にほとんど触れずに、普天間は「県外移設がベストだが、県内移設も選択肢」と、辺野古への新基地建設を容認する発言を繰り返した。

県内移設を拒否する糸数氏に、容認する仲井真氏。たしかに両者には歴然とした差異がある。辺野古やヘリパットが新設されようとしている高江で闘う人びとにとって、これ以上沖縄に基地をつくらせたくないと想う人は、糸数氏の勝利が期待されたに違いない。だが私にとって、糸数氏の「国外移設」には、どうしても引っかかるものがあった。具体的にグアムへの基地移設が計画されている現在、「国外移設」を求めることにどれほどの意義があるのか。グアムの反基地闘争との関係性はどうするのか。また何よりも、軍事基地の存在そのものを批判せずに、「移設」という形で代案を出すことは根本的な錯誤ではないか。（土井智義）