[コラム] 大今歩/誰が「美しい国」を壊したか
銃をとって叫べ
誰が大地を汚したのかと
無知な奴らの無知な笑いが
うそで固められ、この国に響き続ける。
銃をとって叫べ
子供だましの伝説にゃ
もうごまかされやしない
あいつらには何もわからない
顔もみたくない。
(一九七二「頭脳警察」ファースト)
日本は海や川、山や森の「美しい国」だった。ところが「美しい国」の「大地を汚した」のは、資本家の番頭である安倍氏ら自民党およびその政権だった。資本家(土建屋など)の利益を増やすため、海岸を埋め立て、川を壊し、山を削り、森を丸裸にして生き物のすみかを奪った。
このように「美しい国」を完膚なきまでに破壊し、私利私欲のみに走る「愛国心」や「道徳心」のかけらもない者たちが偉そうな顔をして「愛国心」や「道徳心」を押しつける。厚顔無恥のきわみであるが、それこそが、「教育基本法改正」政府案の本質である。安倍内閣は「教育基本法改正案」の今国会での成立を強行しようとしている。
日の丸・君が代『予防訴訟』の勝訴
九月二一日、東京地裁は東京都教委による「国旗・国歌」強制は違憲だとして、都立学校の教員四〇一名が訴えた訴訟(いわゆる「予防訴訟」)で、「卒業式等の式典会場において(中略)、国旗に向かって起立し国歌を斉唱する義務のないことを確認する」との原告全面勝訴の判決を出した。この判決の根拠とされたのが、教育基本法第一〇条一項の「教育は不当な支配に服することなく国民全体に対し、直接の責任を負って行われるべきものである」だ。判決は「本件通達(二〇〇三年「入学式、卒業式等における国旗掲揚および国歌斉唱の実施について」)及びこれに関する被告・都教委の都立学校の各校長に対する一連の指導等は、教育基本法一〇条一項所定の不当な支配に該当するものとして違法と解するのが相当」としているのである。
「不当な支配」の意味の逆転
今回の改正案で「教育は、不当な支配に服することなく」の文言は残ったが、「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの」との文言は削られ、替わって「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」とされた。改正により、例えば「日の丸・君が代」に反対する教員が「(国旗・国歌)法に基づいて行っている教育」への「不当な支配」として排除されかねない。
九・二一東京地裁判決は画期的であり、「日の丸」「君が代」の強制に反対する人々を大いに勇気づけた。しかし「教育基本法改正」はこのような判決の法的根拠を奪う。まさにそのためにこそ政府や与党は強行採決までして「改正案」成立を急ぐのである。「教育の不当な支配禁止」条項の骨抜き、逆転は今日の状況にとって非常に深刻な意味を持つのである。
このように「教育基本法改正」の目的は教育の国家統制強化にある。そして今国会での「防衛庁」の「防衛省」への昇格や、今後の憲法九条改正と相まって、日本を「戦争のできる国」にすることを目論んでいるのである。だから参議院では慎重な審議を求め、廃案に追い込まねばならない。